請負契約は成功報酬なのです!
請負とは、契約の一種で、ある仕事を完成させることを目的とした内容であり、その仕事の完成後に、その仕事の結果に対して(建物を建てるという内容の契約であれば、完成した目的物を引き渡すこと)請負人は注文者に対して報酬を請求することができます(報酬の請求時期は引渡と同時)。
成功報酬を請求することになりますので、その仕事がきちんと仕上がりませんと、報酬を請求することはできません。途中で仕事を投げ出すということもできません。仕事の完成そのものが、請負契約の目的である訳ですので、請負人としては、いくら努力してその労働力を提供したとしても、仕事自体が完成しなければ何の評価もされず、報酬も請求できないということなのです。
さて、C子はB子に頼まれて、建物を建てるという請負契約を締結しました。B子は、新居を建てたいということで、C子に依頼して建物建設の請負契約を締結したのです。そしてめでたく建物が完成したのですが、困った問題が出てきました。
B子は、この建物を建てる際に、材料として五寸釘を使用して欲しくてその旨指定したのですが、C子はうっかり違う寸の釘を用いました(建物全体の強度的には、問題はないものとします)。B子は不満でしたが、建物全体の釘を、指定通りの五寸釘に全て交換するとなりますと、大変な費用がかかります。
請負人であるC子には、「請負人の担保責任」がありますが、当該欠陥が重大なものではない(建物全体の強度的には問題なしだったので)場合は、欠陥の修補は例外的に免除されます。この場合は、B子は、欠陥の修補の代わりに、C子に対して損害賠償をすることで対応することになります(民法634条)。
さて、上記の例では、その欠陥が重大なものではなかったという話でしたが、例えばその欠陥があるために、契約をした目的を達成できないような場合(その建物に住めないような欠陥:雨漏りが酷いなど)であったらどうなるでしょうか。その様な場合は、注文者は、その請負契約を解除できるというのが原則なのですが、特にその目的物が建物・土地上の工作物であった場合には、契約の解除はできません。解除を認めますと、建物等を取り壊さざるを得なくなり、社会的な損失が生じるということで、よろしくないということなのです。この場合は、注文者は、損害賠償請求と修補請求で我慢をすることになります。
もう一つ、請負人から契約の解除は原則できないのでしたが、注文者からは、その仕事の完成前であれば、損害を賠償して請負契約を解除することができます。上記の例ですと、B子の建物がいらなくなった場合など、建てている途中であれば、解除ができるということです。注文者にとって不要になった仕事を続けても意味がないからです(民法641条)。
| 【請負契約】 請負契約は成功報酬。仕事を完成させることが目的。
【同時履行】 仕事の目的物の引渡しと報酬の支払いは、同時履行の関係。
【委任契約】 委任契約は、委任者が受任者に対して法律行為(契約行為など)を行うことを委任して、受任者がそれを受託することで成立します(民643)。委任者と受任者の間の信頼関係に基づく事務処理です。
必ずしもビジネスである必要はありません。
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