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ビジュアル宅建士 宅建士試験過去問題 令和5年

 このページは、令和5年度宅建士試験の問題文及び解答を掲載したものです。内容も、随時更新&充実させてまいります。過去問題学習の参考にご覧ください(禁転載)。どうぞよろしくお願いいたします。
問1:権利関係:相続【NEW】
問2:権利関係:相隣関係【NEW】
問3:権利関係:請負契約【NEW】
問4:権利関係:相殺【NEW】
問5:権利関係:不在者の財産管理【NEW】
問6:権利関係:取得時効【NEW】
問7:権利関係:配偶者居住権【NEW】
問8:権利関係:制限行為能力【NEW】
問9:権利関係:賃貸借【NEW】
問10:権利関係:抵当権【NEW】
問11:権利関係:借地権【NEW】
問12:権利関係:建物賃貸借【NEW】
問13:権利関係:建物区分所有法【NEW】
問14:権利関係:不動産登記法【NEW】
問15:法令上の制限:都市計画法: 地域地区、地区計画【NEW】
問16:法令上の制限:都市計画法:開発行為【NEW】
問17:法令上の制限:建築基準法:単体規定【NEW】
問18:法令上の制限:建築基準法:集団規定【NEW】
問19:法令上の制限:宅地造成及び特定盛土等規制法【NEW】
問20:法令上の制限:土地区画整理法【NEW】
問21:法令上の制限:農地法【NEW】
問22:法令上の制限:国土利用計画法【NEW】
問23:税法:印紙税【NEW】
問24:税法:不動産取得税【NEW】
問25:不動産鑑定評価基準【NEW】
問26:宅建業法:37条書面【NEW】
問27:宅建業法:建物状況調査【NEW】
問28:宅建業法:業務上の規制【NEW】
問29:宅建業法:免許の基準【NEW】
問30:宅建業法:営業保証金【NEW】
問31:宅建業法:広告についての規制【NEW】
問32:宅建業法:届出等【NEW】
問33:宅建業法:重要事項の説明【NEW】
問34:宅建業法:報酬の額【NEW】
問35:宅建業法:クーリング・オフ【NEW】
問36:宅建業法:禁止事項【NEW】
問37:宅建業法:業務上の規制【NEW】
問38:宅建業法:宅建業法上の定義【NEW】
問39:宅建業法:手付金等の保全措置【NEW】
問40:宅建業法:媒介契約【NEW】
問41:宅建業法:監督処分【NEW】
問42:宅建業法:重要事項の説明【NEW】
問43:宅建業法:37条書面【NEW】
問44:宅建業法:保証協会【NEW】
問45:住宅瑕疵担保責任履行確保法【NEW】
問46:住宅金融支援機構【NEW】
問47:景品表示法、公正競争規約【NEW】
問48:統計問題【NEW】
問49:土地について【NEW】
問50:建物について【NEW】

問1:権利関係: 相続

問題文: 次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。
(判決文)
遺産は、相続人が数人あるときは、相続開始から遺産分割までの間、共同相続人の共有に属するものであるから、この間に遺産である賃貸不動産を使用管理した結果生ずる金銭債権たる賃料債権は、遺産とは別個の財産というべきであって、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得するものと解するのが相当である。
1  遺産である不動産から、相続開始から遺産分割までの間に生じた賃料債権は、遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産が帰属することになった相続人が相続開始時にさかのぼって取得する。
2  相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属し、各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
3  遺産分割の効力は、相続開始の時にさかのぼって生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
4  遺産である不動産が遺産分割によって複数の相続人のうちの一人に帰属することとなった場合、当該不動産から遺産分割後に生じた賃料債権は、遺産分割によって当該不動産が帰属した相続人が取得する。


解答 1
本判決は、最高裁平成17年9月8日判決『共同相続に係る不動産から生ずる賃料債権の帰属と後にされた遺産分割の効力〜相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けない。』によるものです。
1 × 判決文によれば、相続開始から遺産分割までの間に共同相続に係る不動産から生ずる金銭債権たる賃料債権は、各共同相続人がその相続分に応じて分割単独債権として確定的に取得し、その帰属は、後にされた遺産分割の影響を受けません。。
2 〇 問題文の記述のとおりです(民法898条、899条)。
3 〇 問題文の記述のとおりです。遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない(民法909条)。
4 〇 遺産分割後に生じた賃料債権は、遺産分割によってその不動産が帰属した相続人が取得します(最高裁平成17年9月8日)。

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問2:権利関係: 相隣関係

問題文: 相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  土地の所有者は、境界標の調査又は境界に関する測量等の一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができる場合であっても、住家については、その家の居住者の承諾がなければ、当該住家に立ち入ることはできない。
2  土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越える場合、その竹木の所有者にその枝を切除させることができるが、その枝を切除するよう催告したにもかかわらず相当の期間内に切除しなかったときであっても、自らその枝を切り取ることはできない。
3  相隣者の一人は、相隣者間で共有する障壁の高さを増すときは、他方の相隣者の承諾を得なければならない。
4  他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に出るためにその土地を囲んでいる他の土地を自由に選んで通行することができる。


解答 1
改正された相隣関係についての出題でした。
1 〇 土地の所有者は、問題文に掲げる行為その他一定の目的のために必要な範囲内で隣地を使用することができます。ただし、住家については、その「居住者」の承諾がなければ、立ち入ることはできません(民法209条1項)。 2 × 土地の所有者は、隣地の竹木の枝が境界線を越えるときは、その竹木の所有者に、その枝を切除させることができます。そして、竹木の所有者に枝を切除するよう催告したにもかかわらず、竹木の所有者が相当の期間内に切除してくれないときは、土地の所有者はその枝を自ら切り取ることができます(民法233条1項、3項)。
3 × 相隣者の一人は、共有の障壁の高さを増すことができます。ただし、その障壁がその工事に耐えないときは、自己の費用で、必要な工作を加え、又はその障壁を改築しなければならないものとされており、他の相隣者の承諾を得るとはされていません(民法231条)。
4 × 他の土地に囲まれて公道に通じない土地の所有者は、公道に至るため、その土地を囲んでいる他の土地を通行することができます。この場合の通行の場所及び方法は、当該通行権を有する者のために必要であり、かつ、他の土地のために損害が最も少ないものを選ばなければなりません(民法210条1項、211条1項)。

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問3:権利関係: 請負契約

問題文: Aを注文者、Bを請負人として、A所有の建物に対して独立性を有さずその構成 部分となる増築部分の工事請負契約を締結し、Bは3か月間で増築工事を終了させた。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。なお、この問において「契約不適合」とは品質に関して契約の内容に適合しないことをいい、当該請負契約には契約不適合責任に関する特約は定められていなかったものとする。
1  AがBに請負代金を支払っていなくても、Aは増築部分の所有権を取得する。
2  Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合がある場合、Aは工事が終了した日から1年以内にその旨をBに通知しなければ、契約不適合を理由とした修補をBに対して請求することはできない。
3  Bが材料を提供して増築した部分に契約不適合があり、Bは不適合があることを知りながらそのことをAに告げずに工事を終了し、Aが工事終了日から3年後に契約不適合を知った場合、AはBに対して、消滅時効が完成するまでは契約不適合を理由とした修補を請求することができる。
4  増築した部分にAが提供した材料の性質によって契約不適合が生じ、Bが材料が不適当であることを知らずに工事を終了した場合、AはBに対して、Aが提供した材料によって生じた契約不適合を理由とした修補を請求することはできない。


解答 2
請負契約における契約不適合責任その他についての出題でした。
1 〇 不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得します(民法242条)。建物の増築部分の所有権は、Aに属します。
2 × 当該建物の増築部分に契約不適合がある場合、注文者はその事を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しなければ、契約不適合を理由とした修補を請求できなくなります(民法636条、637条1項)。
3 〇 契約不適合にかかる通知期間の制限は、請負人がその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは適用されないので(民法636条、637条)、工事終了日から3年後に不適合を知ったときは、修補請求をすることができます。
4 〇 注文者は、注文者の提供した材料の性質又は注文者の与えた指図によって生じた不適合を理由としては、履行の追完の請求、報酬の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができません。ただし、請負人がその材料又は指図が不適当であることを知りながら告げなかったときは、この限りではありません(民法636条)。

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問4:権利関係: 相殺

問題文: AがBに対して貸金債権である甲債権を、BがAに対して貸金債権である乙債権をそれぞれ有している場合において、民法の規定及び判例によれば、次のアからエまでの記述のうち、Aが一方的な意思表示により甲債権と乙債権とを対当額にて相殺できないものを全て掲げたものは、次の1から4のうちどれか。なお、いずれの債権も相殺を禁止し又は制限する旨の意思表示はされていないものとする。
ア 弁済期の定めのない甲債権と、弁済期到来前に、AがBに対して期限の利益を放棄する旨の意思表示をした乙債権
イ 弁済期が到来している甲債権と、弁済期の定めのない乙債権
ウ 弁済期の定めのない甲債権と、弁済期が到来している乙債権
エ 弁済期が到来していない甲債権と、弁済期が到来している乙債権
1  ア、イ、ウ
2  イ、ウ
3  ウ、エ
4  エ


解答 4
二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができます。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りではありません。また、前述の規定にかかわらず、当事者が相殺を禁止し、または制限する旨の意思表示をした場合には、その意思表示は、第三者がこれを知り、または重大な過失によって知らなかったときに限り、その第三者に対抗することができます(民法505条)。そして、債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負います(民法412条)。弁済期の定めのない債権については、債権成立時より請求が可能となります。弁済期が到来していない債権を自働債権として相殺を行うことはできません。そして、各肢を見てみますと・・・
アは、Aの一方的な意思表示によって相殺できます。乙債権については、債務者のAが期限の利益を放棄しているので、相殺できます。
イは、Aの一方的な意思表示によって相殺できます。甲債権は、Bによる弁済期が到来しています。
ウは、Aの一方的な意思表示によって相殺できます。乙債権は、Aによる弁済期が到来しています。
エは、Aの一方的な意思表示によって相殺できません。弁済期が到来していない甲債権を自働債権として相殺を行うことはできません。
よって、Aの一方的な意思表示により相殺できないものは、エの一つです。

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問5:権利関係: 不在者の財産管理

問題文: 従来の住所又は居所を去った者(以下この問において「不在者」という。)の財産の管理に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「管理人」とは、不在者の財産の管理人をいうものとする。
1  不在者が管理人を置かなかったときは、当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。
2  不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官から請求があったとしても管理人を改任することはできない。
3  家庭裁判所により選任された管理人は、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対して控訴を提起するには、家庭裁判所の許可が必要である。
4  家庭裁判所により選任された管理人は、保存行為として不在者の自宅を修理することができるほか、家庭裁判所の許可を得てこれを売却することができる。


解答 4
不在者の財産の管理についての出題です。珍しい論点です。
1 × 不在者がその財産の管理人を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができます(民法25条)。「当該不在者の生死が7年間明らかでない場合に限り」とはされていません。
2 × 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができます(民法26条)。
3 × 家庭裁判所が選任した不在者財産管理人は、民法28条所定の家庭裁判所の許可を得ることなしに、不在者を被告とする建物収去土地明渡請求を認容した第一審判決に対し控訴を提起し、その控訴を不適法として却下した第二審判決に対し上告を提起する権限を有します(最判昭和47年9月1日)。〜ムズカシイ問題です。
4 〇 管理人は、処分行為等その権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、当該行為をすることができます(民法28条)。管理物の売却は、処分行為に該当します。

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問6:権利関係: 取得時効

問題文: A所有の甲土地について、Bが所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはいくつあるか。
ア AがCに対して甲土地を売却し、Cが所有権移転登記を備えた後にBの取得時効が完成した場合には、Bは登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をCに対抗することができる。
イ Bの取得時効が完成した後に、AがDに対して甲土地を売却しDが所有権移転登記を備え、Bが、Dの登記の日から所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、所有権移転登記を備えていなくても、甲土地の所有権の時効取得をDに対抗することができる。
ウ Bの取得時効完成後、Bへの所有権移転登記がなされないままEがAを債務者として甲土地にAから抵当権の設定を受けて抵当権設定登記をした場合において、Bがその後引き続き所有の意思をもって平穏にかつ公然と時効取得に必要な期間占有を継続した場合、特段の事情がない限り、再度の時効取得により、Bは甲土地の所有権を取得し、Eの抵当権は消滅する。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  なし


解答 3
アは〇 取得時効完成前に原所有者から所有権を取得して登記を備えた者に対し、取得時効により不動産を取得した者は、登記がなくても所有権取得を対抗することができます(民法177条、最判昭和41年11月22日)。
イは〇 取得時効完成後に原所有者から所有権を取得して登記を備えた者に対しては、取得時効により不動産を取得した者は、登記がなければ所有権取得を対抗できません(最判昭和33年8月28日)が、改めて新たに占有を継続して取得時効要件を得れば、登記を経由しなくても、時効取得をもって所有権を対抗できます(最判昭和36年7月20日)。
ウは〇 債務者又は抵当権設定者でない者が抵当不動産について取得時効に必要な要件を具備する占有をしたときは、抵当権は、これによって消滅します(民法397条、最判平成24年3月16日)。再度のBの甲土地の時効取得により、Eの抵当権は消滅します。
よって、正しいものは、アイウの三つです。

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問7:権利関係: 配偶者居住権

問題文: 甲建物を所有するAが死亡し、Aの配偶者Bが甲建物の配偶者居住権を、Aの子Cが甲建物の所有権をそれぞれ取得する旨の遺産分割協議が成立した場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  遺産分割協議において、Bの配偶者居住権の存続期間が定められなかった場合、配偶者居住権の存続期間は 20 年となる。
2  Bが高齢となり、バリアフリーのマンションに転居するための資金が必要になった場合、Bは、Cの承諾を得ずに甲建物を第三者Dに賃貸することができる。
3  Cには、Bに対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務がある。
4  Cは、甲建物の通常の必要費を負担しなければならない。


解答 3
配偶者居住権に関する出題でした。
1 × 配偶者居住権の存続期間は配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とされます。ただし、遺産の分割の協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別段の定めをしたときは、その定めるところによります(民法1030条)。20年になるのではアリマセン。
2 × 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができません(民法1032条3項)。
3 〇 居住建物の所有者は、配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負います(民法1031条1項)。
4 × 配偶者居住権を取得した配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担します(民法1034条1項)。

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問8:権利関係: 制限行為能力

問題文: 未成年者Aが、法定代理人Bの同意を得ずに、Cから甲建物を買い受ける契約(以下この問において「本件売買契約」という。)を締結した場合における次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、Aに処分を許された財産はなく、Aは、営業を許されてはいないものとする。
1  AがBの同意を得ずに制限行為能力を理由として本件売買契約を取り消した場合、Bは、自己が本件売買契約の取消しに同意していないことを理由に、Aの当該取消しの意思表示を取り消すことができる。
2  本件売買契約締結時にAが未成年者であることにつきCが善意無過失であった場合、Bは、Aの制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできない。
3  本件売買契約につき、取消しがなされないままAが成年に達した場合、本件売買契約についてBが反対していたとしても、自らが取消権を有すると知ったAは、本件売買契約を追認することができ、追認後は本件売買契約を取り消すことはできなくなる。
4  本件売買契約につき、Bが追認しないまま、Aが成年に達する前にBの同意を得ずに甲建物をDに売却した場合、BがDへの売却について追認していないときでも、Aは制限行為能力を理由として、本件売買契約を取り消すことはできなくなる。


解答 3
1 × 未成年者は制限行為能力者なので、その法定代理人の同意を得ずにした契約は、未成年者自身又は法定代理人が取り消すことができます(民法5条、120条)。未成年者Aによる取消しは、単独で有効に行えるので、BはAによる取消しの意思表示を取り消すことはできません。
2 × 制限行為能力を理由とする取消しについては、善意無過失である相手方に対しても主張できます。
3 〇 取り消すことができる行為は、民法120条に規定する者(取消しすることができる者)が追認したときは、以後、取り消すことができなくなります。成年に達したAは、当該行為について追認することができます。追認後は、当該売買契約を取り消すことはできません。
4 × Aが成年に達してなく、Bによる追認もないので、Aは甲建物のDへの売却につき、制限行為能力を理由として取り消すことができます。

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問9:権利関係: 賃貸借

問題文: Aを貸主、Bを借主として甲建物の賃貸借契約が令和5年7月1日に締結された場合の甲建物の修繕に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1  甲建物の修繕が必要であることを、Aが知ったにもかかわらず、Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
2  甲建物の修繕が必要である場合において、BがAに修繕が必要である旨を通知したにもかかわらず、Aが必要な修繕を直ちにしないときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。
3  Bの責めに帰すべき事由によって甲建物の修繕が必要となった場合は、Aは甲建物を修繕する義務を負わない。
4  甲建物の修繕が必要である場合において、急迫の事情があるときは、Bは甲建物の修繕をすることができる。


解答 2
1 〇 賃借物の修繕が必要である場合において、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、又は賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときや、急迫の事情があるときは、賃借人は、その修繕をすることができます(民法607条の2)。
2 × 肢1の解説を参照してください。Aが相当の期間内に必要な修繕をしないときに、Bは甲建物の修繕を行えます。
3 〇 賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負いますが、賃借人の責めに帰すべき事由によってその修繕が必要となったときは、修繕義務を負いません(民法606条)。
4 〇 肢1の解説を参照してください。

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問10:権利関係: 抵当権

問題文: 債務者Aが所有する甲土地には、債権者Bが一番抵当権(債権額 1,000 万円)、 債権者Cが二番抵当権(債権額 1,200 万円)、債権者Dが三番抵当権(債権額 2,000 万円)を それぞれ有しているが、BがDの利益のため、Aの承諾を得て抵当権の順位を放棄した。甲土 地の競売に基づく売却代金が 2,400 万円であった場合、Bの受ける配当額として、民法の規定 によれば、正しいものはどれか。
1  0 円
2  200 万円
3  400 万円
4  800 万円


解答 3
設問の1番抵当権者のBによる抵当権の順位の放棄は、3番抵当権者のDの利益のために行ったものですので、2番抵当権者のCの地位については当該順位の放棄によっては影響が生じません。
Cは、元々の1番抵当権者が1,000万円の配当を受けた残額である1,400万円から、その債権額である1,200万円の全額について配当を受けることができるので、Bが順位の放棄をDに対して行った場合においても債権額が確保されます。よって、甲土地の競売に基づく売却代金が2,400万円であったため、2,400万円−Cの配当分の1,200万円=1,200万円となるので、その1,200万円について、BとDで配分します。そして、Bの順位の放棄によりBとDは同順位として取り扱われるので、その配分については債権額の割合を基に各々配分がなされます。Bの債権額が1,000万円であり、Dの債権額が2,000万円ですので、その割合はB:D=1:2の割合で配分がなされることとなり、Bが400万円、Dが800万円の配当額となります(民法376条)。

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問11:権利関係: 借地権

問題文: AがBとの間で、A所有の甲土地につき建物所有目的で期間を50年とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を締結する場合に関する次の記述のうち、借地借家法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1  本件契約に、当初の 10 年間は地代を減額しない旨の特約を定めた場合、その期間内は、BはAに対して地代の減額請求をすることはできない。
2  本件契約が甲土地上で専ら賃貸アパート事業用の建物を所有する目的である場合、契約の更新や建物の築造による存続期間の延長がない旨を定めるためには、公正証書で合意しなければならない。
3  本件契約に建物買取請求権を排除する旨の特約が定められていない場合、本件契約が終了したときは、その終了事由のいかんにかかわらず、BはAに対してBが甲土地上に所有している建物を時価で買い取るべきことを請求することができる。
4  本件契約がBの居住のための建物を所有する目的であり契約の更新がない旨を定めていない契約であって、期間満了する場合において甲土地上に建物があり、Bが契約の更新を請求したとしても、Aが遅滞なく異議を述べ、その異議に更新を拒絶する正当な事由があると認められる場合は、本件契約は更新されない。


解答 4
1 × 地代または土地の借賃(地代等)が、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって地代等の額の増減を請求することができます。ただし、一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従います(借地借家法11条)。賃料を減額しない旨の特約は、無効です(最判平成16年6月29日等)。
2 × 専ら事業の用に供する建物(居住の用に供するものを除く。)の所有を目的とし、かつ、存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合においては、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物買取りの請求をしないこととする旨を定めることができます(借地借家法23条)。事業用定期借地権においては、事業用建物であっても居住用だと除かれます。
3 × 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができます。ただし、借地人の債務不履行による土地賃貸借契約解除の場合には、借地人は建物等買取請求権を行使できません(借地借家法13条)。
4 〇 借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされます。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、更新されません(借地借家法5条)。

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問12:権利関係: 建物賃貸借

問題文: 令和5年7月1日に締結された建物の賃貸借契約(定期建物賃貸借契約及び一時使用目的の建物の賃貸借契約を除く。)に関する次の記述のうち、民法及び借地借家法の規定並びに判例によれば、正しいものはどれか。
1  期間を1年未満とする建物の賃貸借契約は、期間を1年とするものとみなされる。
2  当事者間において、一定の期間は建物の賃料を減額しない旨の特約がある場合、現行賃料が不相当になったなどの事情が生じたとしても、この特約は有効である。
3  賃借人が建物の引渡しを受けている場合において、当該建物の賃貸人が当該建物を譲渡するに当たり、当該建物の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該建物の譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は譲受人に移転しない。
4  現行賃料が定められた時から一定の期間が経過していなければ、賃料増額請求は、認められない。


解答 3
1 × 期間を1年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなされます(借地借家法29条1項)。期間を1年とするものとみなされるのではありません。
2 × 建物の借賃が、土地もしくは建物に対する租税その他の負担の増減により、土地もしくは建物の価格の上昇もしくは低下その他の経済事情の変動により、または近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができます。ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従います(借地借家法32条)。
3 〇 建物の賃借人が民法605条、借地借家法10条または31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合において、その不動産が譲渡されたときは、その不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転します。ただし、この規定にかかわらず、不動産の譲渡人および譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨およびその不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しません(民法605条の2第1項、2項)。
4 × 借地借家法32条1項の規定に基づく賃料増額請求権を行使するには、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過していることを要しません(借地借家法32条1項、最判平成3年11月29日)。

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問13:権利関係: 建物区分所有法

問題文: 建物の区分所有等に関する法律(以下この問において「法」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1  集会においては、法で集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除き、規約で別段の定めをすれば、あらかじめ通知した事項以外についても決議することができる。
2  集会は、区分所有者の 4 分の 3 以上の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができる。
3  共用部分の保存行為は、規約に別段の定めがある場合を除いて、各共有者がすることができるため集会の決議を必要としない。
4  一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものについての区分所有者全員の規約は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が8人である場合、3人が反対したときは変更することができない。


解答 2
1 〇 集会においては、集会の招集通知の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができます。ただし、当該規定は、建物区分所有法において集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げません(建物区分所有法37条1項、2項)。
2 × 集会は、区分所有者全員の同意があるときは、招集の手続を経ないで開くことができます(建物区分所有法36条)。区分所有者の4分の3以上の同意では、必要な条件を満たしません。
3 〇 共用部分の管理に関する事項は、共用部分の重大変更の場合を除いて、集会の決議で決します。ただし、保存行為は、各共有者がすることができるとされています。なお、当該規定は、規約で別段の定めをすることができます(建物区分所有法16条、17条)。
4 〇 一部共用部分に関する事項で区分所有者全員の利害に関係しないものは、区分所有者全員の規約に定めがある場合を除いて、これを共用すべき区分所有者の規約で定めることができます。つまり、区分所有者全員の規約において、これを定めることが可能です。ただし、この事項について区分所有者全員の規約で定めるときは、区分所有者全員の規約の設定、変更または廃止は、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者の4分の1を超える者またはその議決権の4分の1を超える議決権を有する者が反対したときは、することができません(建物区分所有法30条、31条)。設問では、当該一部共用部分を共用すべき区分所有者が8人であるので、そのうちの3人が反対すれば、規約の変更をすることができません。

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問14:権利関係: 不動産登記法

問題文: 不動産の登記に関する次の記述のうち、不動産登記法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1  建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人は、その滅失の日から 1か月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。
2  何人も、理由の有無にかかわらず、登記官に対し、手数料を納付して、登記簿の附属書類である申請書を閲覧することができる。
3  共有物分割禁止の定めに係る権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者である全ての登記名義人が共同してしなければならない。
4  区分建物の所有権の保存の登記は、表題部所有者から所有権を取得した者も、申請することができる。


解答 2
1 〇 建物が滅失したときは、表題部所有者または所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記または団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から1月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければなりません(不動産登記法57条)。
2 × 登記申請書および添付書面(図面を除き、電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。)の閲覧請求に関しては、登記申請人以外の第三者が当該請求を行うには正当な理由があることがその要件となります(不動産登記法121条3項)。なお、自身が登記申請人である場合のその登記の登記申請書および添付書面については正当な理由の有無にかかわらず閲覧請求をすることができます(同条4項)。
3 〇 共有物分割禁止の定めにかかる権利の変更の登記の申請は、当該権利の共有者であるすべての登記名義人が共同してしなければなりません(不動産登記法65条)。
4 〇 区分建物にあっては、表題部所有者から所有権を取得した者も、所有権の保存の登記を申請することができます。この場合において、その建物が敷地権付区分建物であるときは、その敷地権の登記名義人の承諾を得なければなりません(不動産登記法74条2項)。

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問15:都市計画法: 地域地区、地区計画

問題文: 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1  市街化調整区域は、土地利用を整序し、又は環境を保全するための措置を講ずることなく放置すれば、将来における一体の都市としての整備に支障が生じるおそれがある区域とされている。
2  高度利用地区は、土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、都市計画に、建築物の高さの最低限度を定める地区とされている。
3  特定用途制限地域は、用途地域が定められている土地の区域内において、都市計画に、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域とされている。
4  地区計画は、用途地域が定められている土地の区域のほか、一定の場合には、用途地域が定められていない土地の区域にも定めることができる。


解答 4
1 × 都市計画区域について無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため必要があるときは、都市計画に、市街化区域と市街化調整区域との区分(区域区分)を定めることができます。市街化調整区域は、市街化を抑制すべき区域です(都市計画法7条1項・3項)。設問の文章は、準都市計画区域についての指定の要件です(同法5条の2)。
2 × 高度利用地区は、用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区です(都市計画法9条19項、8条3項2号チ)。なお、高度地区は、用途地域内において市街地の環境を維持し、又は土地利用の増進を図るため、建築物の高さの最高限度又は最低限度を定める地区です(同条18項)。
3 × 特定用途制限地域は、用途地域が定められていない土地の区域(市街化調整区域を除く。)内において、その良好な環境の形成又は保持のため当該地域の特性に応じて合理的な土地利用が行われるよう、制限すべき特定の建築物等の用途の概要を定める地域です(都市計画法9条15項)。
4 〇 地区計画は、都市計画区域内において定められます。用途地域が定められている土地の区域のほか、用途地域が定められていない土地の区域においても一定の要件のもと(住宅市街地の開発その他建築物もしくはその敷地の整備に関する事業が行われる、または行われた土地の区域等に該当する場合その他の場合)に定めることができます(都市計画法12条の5第1項)。

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問16:都市計画法: 開発行為

問題文: 都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。ただし、この問において条例による特別の定めはないものとし、「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市及び施行時特例市にあってはその長をいうものとする。
1  開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議し、その同意を得なければならない。
2  開発許可を受けた者は、当該許可を受ける際に申請書に記載した事項を変更しようとする場合においては、都道府県知事に届け出なければならないが、当該変更が国土交通省令で定める軽微な変更に当たるときは、届け出なくてよい。
3  開発許可を受けた者は、当該開発行為に関する工事が完了し、都道府県知事から検査済証を交付されたときは、遅滞なく、当該工事が完了した旨を公告しなければならない。
4  市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内において、自己の居住用の住宅を新築しようとする全ての者は、当該建築が開発行為を伴わない場合であれば、都道府県知事の許可を受けなくてよい。


解答 1
1 〇 開発許可を申請しようとする者は、あらかじめ、開発行為に関係がある公共施設の管理者と協議をし、その同意を得なければなりません(都市計画法32条1項)。
2 × 開発許可を受けた者は、許可を受ける際に申請書に記載した事項の変更をしようとする場合においては、都道府県知事の許可を受けなければなりません。ただし、国土交通省令で定める軽微な変更をしようとするときは、許可は不要です(都市計画法35条の2第1項)。なお、軽微な変更行為の場合は、許可不要ですが、変更の際にその旨の届出をしなければなりません(同条第3項)。
3 × 都道府県知事は、開発許可に基づく工事の完了の届出があったときは、遅滞なく、当該工事が開発許可の内容に適合しているかどうかについて検査し、その検査の結果当該工事が当該開発許可の内容に適合していると認めたときは、国土交通省令で定める様式の検査済証を当該開発許可を受けた者に交付しなければならず、知事は検査済証を交付したときは、遅滞なく、国土交通省令で定めるところにより、当該工事が完了した旨を公告しなければなりません(都市計画法36条2項、3項)。開発行為を受けた者が工事完了の公告を行うのではありません。
4 × 何人も、市街化調整区域のうち開発許可を受けた開発区域以外の区域内においては、都道府県知事の許可を受けなければ、一定の場合を除いて、建築物を新築し、または第一種特定工作物を新設してはならず、また、建築物を改築し、またはその用途を変更することができません(都市計画法43条1項)。当該工事が開発行為を伴わないものであっても、建築について許可が必要です。

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問17:建築基準法: 単体規定

問題文: 建築基準法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1  地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定し、当該区域内における住居の用に供する建築物の建築を禁止することができる。
2   3 階建て以上の建築物の避難階以外の階を、床面積の合計が1,500uを超える物品販売業の店舗の売場とする場合には、当該階から避難階又は地上に通ずる 2 以上の直通階段を設けなければならない。
3  建築物が防火地域及び準防火地域にわたる場合、その全部について準防火地域内の建築物に関する規定を適用する。
4  石綿等をあらかじめ添加した建築材料は、石綿等を飛散又は発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの又は国土交通大臣の認定を受けたものを除き、使用してはならない。


解答 3
1 ○ 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができます。なお、災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、条例で定めます(建築基準法39条)。
2 ○ 物品販売業を営む店舗で、その床面積の合計が1,500uを超えるものでその階に売場を有するものについては、建築物の避難階以外の階ではその階から避難階または地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければなりません(建築基準法施行令121条1項2号、117条1項)。
3 × 建築物が防火地域と準防火地域にわたる場合には、原則として、その全部について規制の厳しい方である防火地域内の建築物に係る規定が適用されます(建築基準法65条2項)。ただし、建築物が防火地域外において防火壁で区画されている場合においては、その防火壁外の部分については、準防火地域内の建築物に関する規定を適用します。
4 ○ 石綿(アスベスト)等をあらかじめ添加した建築材料については、石綿等を飛散または発散させるおそれがないものとして国土交通大臣が定めたもの、または国土交通大臣の認定を受けたものを除いては、使用することができません(建築基準法28条の2第2号)。

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問18:建築基準法: 集団規定

問題文: 次の記述のうち、建築基準法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1  法第53条第1項及び第2項の建蔽率制限に係る規定の適用については、準防火地域内にある準耐火建築物であり、かつ、街区の角にある敷地又はこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある建築物にあっては同条第1項各号に定める数値に10分の2を加えたものをもって当該各号に定める数値とする。
2  建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならず、地盤面下に設ける建築物においても同様である。
3  地方公共団体は、その敷地が袋路状道路にのみ接する建築物であって、延べ面積が150uを超えるものについては、一戸建ての住宅であっても、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地又は建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができる。
4  冬至日において、法第56条の2第1項の規定による日影規制の対象区域内の土地に日影を生じさせるものであっても、対象区域外にある建築物であれば一律に、同項の規定は適用されない。


解答 1
1 ○ 準防火地域内にある建築物が準耐火建築物等であり、併せて街区の角にある敷地またはこれに準ずる敷地で特定行政庁が指定するものの内にある場合は、当該区域内で定められた建蔽率の数値に2/10を加えた数値が建蔽率の限度となります(建築基準法53条3項)。
2 × 建築物または敷地を造成するための擁壁は、道路内にまたは道路に突き出して建築し、または築造してはなりません。ただし、「地盤面下に設ける建築物」「公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの」「公共用歩廊その他政令で定める建築物で特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの」等に該当する建築物については建築することができます(建築基準法44条1項)。
3 × 地方公共団体は、敷地が袋路状道路(その一端のみが他の道路に接続したものをいう。)にのみ接する建築物で、延べ面積が150uを超える建築物について、その用途、規模または位置の特殊性により、避難または通行の安全の目的を十分に達成することが困難であると認めるときは、条例で、その敷地が接しなければならない道路の幅員、その敷地が道路に接する部分の長さその他その敷地または建築物と道路との関係に関して必要な制限を付加することができます(建築基準法43条3項5号)。ただし、一戸建ての住宅は除かれています。本問の住宅は一戸建てとあるので、上記の制限を付加することができません。
4 × 日影規制の対象区域外にある建築物は、原則として規制がかかりません。しかし、高さが10mを超える建築物で、冬至日において、その対象区域内の土地に日影を生じさせるものには、日影規制が適用されます(建築基準法56条の2第4項)。

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問19:宅地造成及び特定盛土等規制法(改定問題)

問題文: 宅地造成及び特定盛土等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問において「都道府県知事」とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市にあってはその長をいうものとする。
1 都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、宅地造成工事等規制区域内で、宅地造成又は特定盛土等に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地の区域であって、政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができる。
2 都道府県知事は、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、宅地造成及び特定盛土等規制法の規定のみによっては、宅地造成や特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合においては、都道府県(地方自治法に基づく指定都市又は中核市の区域内の土地にあっては、それぞれ指定都市又は中核市)の規則で、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の技術的基準を強化し、又は必要な技術的基準を付加することができる。
3 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その土地の所有者等に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができる。
4 宅地造成等工事規制区域内の土地において、地表水等を排除するため排水施設等の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、都道府県知事への届出が必要となる。


解答 1
1 × 都道府県知事は、基本方針に基づき、かつ、基礎調査の結果を踏まえ、この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは、宅地造成又は特定盛土等(宅地において行うものに限る。)に伴う災害で相当数の居住者等に危害を生ずるものの発生のおそれが大きい一団の造成宅地(これに附帯する道路その他の土地を含み、宅地造成等工事規制区域内の土地を除く。)の区域であって政令で定める基準に該当するものを、造成宅地防災区域として指定することができます(宅地造成及び特定盛土等規制法45条1項)。造成宅地防災区域の指定は、宅地造成工事等規制区域内に重ねて指定することはできません。
2 ○ 都道府県知事は、その地方の気候、風土又は地勢の特殊性により、宅地造成及び特定盛土等規制法の規定のみによっては、宅地造成、特定盛土等又は土石の堆積に伴う崖崩れ又は土砂の流出の防止の目的を達し難いと認める場合においては、都道府県(地方自治法に基づく指定都市又は中核市の区域内の土地にあっては、それぞれ指定都市又は中核市)の規則で、宅地造成等工事規制区域内において行われる宅地造成等に関する工事の技術的基準を強化し、又は必要な技術的基準を付加することができます(宅地造成及び特定盛土等規制法13条、同法施行令20条2項)。
3 ○ 都道府県知事は、宅地造成等工事規制区域内の土地について、宅地造成等に伴う災害の防止のため必要があると認める場合においては、その土地の所有者等に対して、擁壁等の設置等の措置をとることを勧告することができます(宅地造成及び特定盛土等規制法22条2項)。
4 ○ 宅地造成等工事規制区域内の土地において、地表水等を排除するため排水施設等の除却工事を行おうとする場合は、一定の場合を除き、当該工事の14日前までに都道府県知事への届出が必要となります(宅地造成及び特定盛土等規制法21条3項、同法施行令26条1項)。

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問20:土地区画整理法

問題文: 土地区画整理法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1  換地計画において定められた清算金は、換地処分の公告があった日の翌日において確定する。
2  現に施行されている土地区画整理事業の施行地区となっている区域については、その施行者の同意を得なければ、その施行者以外の者は、土地区画整理事業を施行することができない。
3  施行者は、換地処分の公告があった場合において、施行地区内の土地及び建物について土地区画整理事業の施行により変動があったときは、遅滞なく、その変動に係る登記を申請し、又は嘱託しなければならない。
4  土地区画整理組合は、仮換地を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、土地区画整理審議会の同意を得なければならない。


解答 1
1 ○ 清算金は、換地処分の公告があった翌日において確定します(土地区画整理法104条8項)。
2 ○ 現に施行されている土地区画整理事業の施行地区内においては、その施行者の同意を得なければ、その施行者以外の者は、土地区画整理事業を施行することができません(土地区画整理法128条1項)。
3 ○ 施行者は、換地処分の公告があった場合に、施行地区内の土地および建物について土地区画整理事業の施行により変動があったときは、政令で定めるところにより遅滞なく土地建物の権利の変動に係る登記について申請をし、または嘱託しなければなりません(土地区画整理法107条2項)。
4 × 施行者である土地区画整理組合は、施行地区内の宅地について仮換地を指定し、または仮換地について仮に権利の目的となるべき宅地若しくはその部分を指定しようとする場合においては、あらかじめ、その指定について、総会もしくはその部会または総代会の同意を得なければなりません(土地区画整理法98条3項)。よって、施行者が土地区画整理組合である場合には、土地区画整理審議会の同意を得るということではありません。

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問21:農地法

問題文: 農地に関する次の記述のうち、農地法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、誤っているものはどれか。
1  相続により農地を取得する場合は、法第3条第1項の許可を要しないが、相続人に該当しない者が特定遺贈により農地を取得する場合は、同項の許可を受ける必要がある。
2  自己の所有する面積4アールの農地を農作物の育成又は養畜の事業のための農業用施設に転用する場合は、法第4条第1項の許可を受ける必要はない。
3  法第3条第1項又は法第5条第1項の許可が必要な農地の売買について、これらの許可を受けずに売買契約を締結しても、その所有権の移転の効力は生じない。
4  社会福祉事業を行うことを目的として設立された法人(社会福祉法人)が、農地をその目的に係る業務の運営に必要な施設の用に供すると認められる場合、農地所有適格法人でなくても、農業委員会の許可を得て、農地の所有権を取得することができる。


解答 2
1 ○ 農地または採草放牧地について相続、遺産分割、包括遺贈、時効取得などにより権利を取得した者は、農業委員会の許可を受ける必要はありません(農地法3条1項12号)。よって、農地の取得が相続によるものであるときは、農地法3条の許可は不要です。また、相続人となるべき者に対して農地を特定遺贈した場合には、3条許可は不要ですが、相続人以外の者に対して農地を特定遺贈する場合は、3条許可が必要です(同項12号・16号、同法施行規則15条5号)。なお、遅滞なく、その農地または採草放牧地の存する市町村の農業委員会にその旨を届け出なければなりません(農地法3条の3)。
2 × 農業者がその農地をその者の耕作の事業に供する他の農地の保全もしくは利用の増進のため、またはその農地(2アール未満のものに限る。)をその者の農作物の育成もしくは養畜の事業のための農業用施設に供する場合には、農地法4条1項の許可を受ける必要がありません(農地法4条1項8号、同法施行規則29条1号)。本問の場合は、4アールなので許可が必要です。
3 ○ 農地法3条または5条の許可を受けないで締結した権利の移転・設定の契約は無効です(農地法3条7項、同法5条3項)。したがって、所有権の移転の効力も生じません。
4 ○ 原則として、農地所有適格法人以外の法人が農地または採草放牧地の所有権等を取得することは禁止されています(農地法3条2項2号)。ただし、その農地所有適格法人以外の農林水産省令で定めるもの(医療法人、学校法人、社会福祉法人等)が農地をその目的のために供するために農地または採草放牧地を取得する場合、農地所有適格法人ではなくても、農業委員会の許可を得て農地の所有権等を取得することができます(同法3条2項2号・1号但書、同法施行令2条2項5号、1項18号、同法施行規則16条1項)。

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問22:国土利用計画法

問題文: 土地を取得する場合における届出に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、この問において「事後届出」とは、国土利用計画法第23条の届出をいい、「重要土地等調査法」とは、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律をいうものとする。
1  都市計画区域外において、国から一団の土地である6,000uと5,000uの土地を購入した者は、事後届出を行う必要はない。
2  市街化区域を除く都市計画区域内において、Aが所有する7,000uの土地をBが相続により取得した場合、Bは事後届出を行う必要がある。
3  市街化区域において、Cが所有する3,000uの土地をDが購入する契約を締結した場合、C及びDは事後届出を行わなければならない。
4  重要土地等調査法の規定による特別注視区域内にある100uの規模の土地に関する所有権又はその取得を目的とする権利の移転をする契約を締結する場合には、当事者は、一定の事項を、あらかじめ、内閣総理大臣に届け出なければならない。


解答 3
1 ○ 当事者の一方または双方が国等である場合は事後届出は不要です(国土利用計画法23条2項3号)。本問の場合、売主が国であり、したがって、事後届出を行う必要がありません。
2 × 一定規模以上の土地売買等の契約を締結した場合、権利取得者(買主等)は、その契約を締結した日から起算して2週間以内に、その土地が所在する市町村の長を経由して、都道府県知事に届け出なければなりません(国土利用計画法23条1項)。この届出が必要な契約とは、土地に関する権利について対価を得て行われる移転・設定の契約をいいます。相続を原因とする土地の取得については、事後届出は必要とされません。
3 × 市街化区域内での届出対象規模は2,000u以上です(国土利用計画法23条2項1号イ)。本問の場合、市街化区域に所在する面積3,000uの土地なので届出対象面積になります。そして、事後届出は契約締結日から起算して2週間以内にしなければなりません(同法23条1項)。この事後届出は権利取得者が行なうべきものであるので、権利取得者であるDについては届出義務がありますが、売主であるCについては届出をする必要はありません。
4 × 重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(重要土地調査法)によれば、内閣総理大臣に対しての届出を要するのは、200u以上の土地取引の場合とされています(重要土地調査法13条1項、同法施行令4条)。設問では当該土地の規模は100uとあるので、内閣総理大臣に対しての届出を必要としません。

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問23:税法: 印紙税

問題文: 印紙税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。なお、以下の契約書はいずれも書面により作成されたものとする。
1  売主Aと買主Bが土地の譲渡契約書を3通作成し、A、B及び仲介人Cがそれぞれ1通ずつ保存する場合、当該契約書3通には印紙税が課される。
2  一の契約書に土地の譲渡契約(譲渡金額 5,000 万円)と建物の建築請負契約(請負金額6,000万円)をそれぞれ区分して記載した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は1億1,000万円である。
3  「Dの所有する甲土地(時価2,000万円)をEに贈与する」旨を記載した贈与契約書を作成した場合、印紙税の課税標準となる当該契約書の記載金額は、2,000万円である。
4  当初作成の「土地を1億円で譲渡する」旨を記載した土地譲渡契約書の契約金額を変更するために作成する契約書で、「当初の契約書の契約金額を1,000万円減額し、9,000万円とする」旨を記載した変更契約書について、印紙税の課税標準となる当該変更契約書の記載金額は、1,000万円である。


解答 1
1 〇 不動産の譲渡に関する契約書は、印紙税が課税されます(印紙税法2条、別表第一課税物件表1号)。売主Aと買主Bは契約当事者であり納税義務者ですが、仲介人であるCの所持する文書も課税されます(印紙税法基本通達20条)。
2 × 設問の場合は、土地の譲渡契約書(1号文書:記載金額5,000万円)の記載金額が建物の建築請負契約書(2号文書:記載金額6,000万円)の記載金額よりも少ない金額であるので、印紙税については記載金額6,000万円の建物の建築請負契約書(2号文書)として課税されます(印紙税法2条、課税物件表の適用に関する通則3条)。
3 × 不動産の贈与契約書は、無償の譲渡なので、記載金額のない契約書として取り扱われます(印紙税法別表第一)。
4 × 一定の場合でその変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、その文書の記載金額の記載は、ないものとして扱われます。設問の変更契約書は、記載金額のない契約書として、印紙税が課税されます(印紙税法課税物件表の適用に関する通則04項ニ)。

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問24:税法: 不動産取得税

問題文: 不動産取得税に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1  不動産取得税の徴収については、特別徴収の方法によることができる。
2  不動産取得税は、目的税である。
3  不動産取得税は、不動産の取得に対し、当該不動産所在の市町村及び特別区において、当該不動産の取得者に課する。
4  不動産取得税は、市町村及び特別区に対して、課することができない。


解答 4
1 × 不動産取得税の徴収については、普通徴収の方法によらなければなりません(地方税法73条の17第1項)。
2 × 不動産取得税は、目的税(税の使途が定められている税目)ではなく、普通税(税の使途が定められていない税目)です。なお、不動産取得税は、不動産の取得に対し、その不動産所在の道府県(都道府県)において、その不動産の取得者に課せられます(地方税法4条2項4号、73条の2第1項等)。
3 × 不動産取得税は、不動産の取得について課される税です。そして、その課税主体は道府県(都道府県)において課されます(地方税法73条の2第1項等)。
4 ○ 不動産取得税は、国、都道府県、市町村および特別区、地方独立行政法人※等に対しては課することができません。※独立行政法人については、非課税とされているもの以外には、課税されます(地方税法73条の3第1項)。

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問25:不動産鑑定評価基準

問題文: 不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、正しいものはどれか。
1  原価法は、価格時点における対象不動産の収益価格を求め、この収益価格について減価修正を行って対象不動産の比準価格を求める手法である。
2  原価法は、対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合には適用することができるが、対象不動産が土地のみである場合においては、いかなる場合も適用することができない。
3  取引事例比較法における取引事例が、特殊事情のある事例である場合、その具体的な状況が判明し、事情補正できるものであっても採用することは許されない。
4  取引事例比較法は、近隣地域若しくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合又は同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効である。


解答 4
1 × 原価法は、価格時点における対象不動産の再調達原価を求め、この再調達原価について減価修正を行って対象不動産の試算価格を求める手法です。
2 × 原価法は、対象不動産が土地のみである場合においても、再調達原価を適切に求めることができるときは、適用することができます。
3 × 取引事例比較法では、事情補正および時点修正につき、取引事例が特殊な事情を含み、これが当該事例に係る取引価格に影響を及ぼしていると認められるときは、適切な補正を行うとしており、「事情補正できるものであっても採用することは許されない」とはしていません。
4 〇 問題文の記述どおりです。取引事例比較法は、近隣地域もしくは同一需給圏内の類似地域等において対象不動産と類似の不動産の取引が行われている場合または同一需給圏内の代替競争不動産の取引が行われている場合に有効な手法です。

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問26:宅建業法: 37条書面

問題文: 宅地建物取引業法第37条の規定により交付すべき書面に記載すべき事項を電磁的方法により提供すること(以下この問において「37条書面の電磁的方法による提供」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、当該契約の相手方から宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を得なければ、37条書面の電磁的方法による提供をすることができない。
イ 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する売買契約について、宅地建物取引業法施行令第3条の4第1項に規定する承諾を取得するための通知の中に宅地建物取引士を明示しておけば、37条書面の電磁的方法による提供において提供に係る宅地建物取引士を明示する必要はない。
ウ 宅地建物取引業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できるものでなければならない。
エ 宅地建物取引業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければならない。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 3
アは〇 宅建業者が自ら売主として締結する売買契約において、契約締結時交付書面(37条書面)の電磁的方法による提供をしようとする場合には、当該契約の相手方から承諾を得なければ、37条書面の電磁的方法による提供をすることはできません(宅建業法37条4項、同法施行令3条の4第1項)。
イは× 宅建業者が媒介業者として関与する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供をしようとする場合の相手方の承諾を取得するための通知の中に取引士を明示しておいたとしても、37条書面の電磁的方法による提供においては取引士の記名が必要です。よって、その提供に係る取引士を明示しなければなりません(宅建業法37条4項、同法施行規則16条の4の12第2項4号、宅建業法解釈・運用の考え方)。
ウは〇 宅建業者が自ら売主として締結する売買契約において、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供されたファイルへの記録を取引の相手方が出力することにより書面を作成できる形式で提供しなければなりません(宅建業法37条4項、同法施行規則16条の4の12第2項4号、宅建業法解釈・運用の考え方)。
エは〇 宅建業者が媒介業者として関与する建物賃貸借契約について、37条書面の電磁的方法による提供を行う場合、当該提供するファイルに記録された記載事項について、その提供時と将来のある時点において改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じなければなりません(宅建業法37条4項、同法施行規則16条の4の12第2項4号、宅建業法解釈・運用の考え方)。
よって、正しいものは、ア・ウ・エの3つです。

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問27:宅建業法: 建物状況調査

問題文: 宅地建物取引業法第 34 条の 2 第 1 項第 4 号に規定する建物状況調査(以下この問において「建物状況調査」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1  建物状況調査とは、建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいう。
2  宅地建物取引業者が建物状況調査を実施する者のあっせんを行う場合、建物状況調査を実施する者は建築士法第 2 条第 1 項に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければならない。
3  既存住宅の売買の媒介を行う宅地建物取引業者が売主に対して建物状況調査を実施する者のあっせんを行った場合、宅地建物取引業者は売主から報酬とは別にあっせんに係る料金を受領することはできない。
4  既存住宅の貸借の媒介を行う宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法第 37 条の規定により交付すべき書面に建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を記載しなければならない。


解答 4

1 〇 建物状況調査とは、建物の構造耐力上主要な部分又は雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するものをいいます。宅建業者は、既存建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、依頼者に対する建物状況調査(経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施します。)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項4号)。本条の国土交通省令で定める者は、建築士法に規定する建築士であって国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければなりません(同法施行規則15条の8第1項)。
2 〇 宅建業者は、既存建物の売買または交換の媒介の契約を締結したときは、遅滞なく、依頼者に対する建物状況調査(経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施します。)を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項4号)。本条の国土交通省令で定める者は、建築士法に規定する建築士であって、国土交通大臣が定める講習を修了した者でなければなりません(同法施行規則15条の8第1項)。
3 〇 宅建業者は、売主から報酬とは別に建物状況調査を実施する者のあっせんにかかる料金等を受領することはできません(宅建業法34条の2、解釈・運用の考え方34条の2関係7)。
4 × 取引の対象となる建物が既存の建物である場合は、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項を37条書面に記載しなければなりません(宅建業法37条1項2号の2)。ですが、この確認した事項は、賃貸借の媒介の際にその当事者に交付する書面には記載する必要はありません(宅建業法37条2項1号)。

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問28:宅建業法: 業務上の規制

問題文: 宅地建物取引業者Aの業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下こ の問において「法」という。)の規定に違反するものはいくつあるか。
ア Aの従業員Bが、Cが所有する戸建住宅の買取りを目的とした訪問勧誘をCに対して行ったところ、Cから「契約の意思がないので今後勧誘に来ないでほしい」と言われたことから、後日、Aは、別の従業員Dに同じ目的で訪問勧誘を行わせて、当該勧誘を継続した。
イ Aの従業員Eは、Fが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をFに対して行った際に、不実のことと認識しながら「今後 5 年以内にこの一帯は再開発されるので、急いで売却した方がよい。」と説明した。
ウ Aの従業員Gは、Hが所有する戸建住宅の買取りを目的とした電話勧誘をHに対して行おうと考え、23 時頃にHの自宅に電話をかけ、勧誘を行い、Hの私生活の平穏を害し、Hを困惑させた。
エ Aは、Jとの間でJが所有する戸建住宅を買い取る売買契約を締結し、法第 37 条の規定に基づく書面をJに交付したが、Aの宅地建物取引士に、当該書面に記名のみさせ、押印させることを省略した。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 3

アは違反。 宅建業者およびその代理人・使用人・従業者は、契約を締結しない旨の意思や、勧誘を引き続き受けることを希望しない旨を表示したにもかかわらず、勧誘を継続してはなりません(宅建業法47条の2第3項、同法施行規則16条の11第1号ニ)。契約の意思のないために今後の勧誘に来ないでほしいと相手方から言われた場合は、たとえ別の従業員であっても再度勧誘させることは宅建業法に違反します。
イは違反。 宅建業者は、その業務に関して、相手方等に対し、重要な事項について、故意に事実を告げず、または不実のことを告げる行為は禁止されています(宅建業法47条1号ニ)。本問の場合、不実のことと認識しながら「今後5年以内にこの一帯は再開発されるので売却した方が良い」等と説明することは禁止されている行為に該当します。
ウは違反。 宅建業者及びその代理人・使用人・従業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方等に対し、深夜または長時間の勧誘その他の私生活または業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させることをしてはなりません(宅建業法47条の2第3項、同法施行規則16条の11第1号ヘ)。相手方に迷惑を覚えさせるような時間に、電話勧誘を行うことは、禁止されている行為に該当します。
エは違反しません。 宅建業者は、締約締結時に交付する書面等(37条書面等)を作成した場合、宅建士にその書面に記名させなければなりません(宅建業法37条3項)。そのため、37条書面には、宅建士の記名は必要ですが、押印まではいりません。
そのため、違反するものはア・イ・ウの3つになります。

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問29:宅建業法: 免許の基準

問題文: 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  宅地建物取引業者A社の使用人であって、A社の宅地建物取引業を行う支店の代表者であるものが、道路交通法の規定に違反したことにより懲役の刑に処せられたとしても、A社の免許は取り消されることはない。
2  宅地建物取引業者B社の取締役が、所得税法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、B社の免許は取り消されることはない。
3  宅地建物取引業者である個人Cが、宅地建物取引業法の規定に違反したことにより罰金の刑に処せられたとしても、Cの免許は取り消されることはない。
4  宅地建物取引業者D社の非常勤の取締役が、刑法第 222 条(脅迫)の罪を犯したことにより罰金の刑に処せられたとしても、D社の免許は取り消されることはない。


解答 2

1 × 法人の役員または政令で定める使用人に、禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者がいれば、その法人も免許を受けることができません(宅建業法5条1項5号・12号)。A社の政令で定める使用人が免許の欠格要件に該当した場合には、A社の免許は取り消されます(同法66条1項3号、同法施行令2条の2)。
2 〇 法人の役員または政令で定める使用人の中に、宅建業法違反、暴力関係の罪や背任罪等の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者がいれば、その法人も免許を受けることができません(宅建業法5条1項12号・6号)。宅建業法違反の場合は罰金刑であっても免許を受けることができません。法人である宅建業者の役員や政令で定める使用人が免許の欠格要件に該当した場合にはその免許は取り消されます(同法66条1項3号、同法施行令2条の2)。設問では、所得税法違反による罰金刑であるので、B社の免許は取り消されることにはなりません。
3 × 宅建業法違反、暴力関係の罪や背任罪等の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられた場合、免許の欠格要件となります。個人業者であるCが宅建業法の規定に違反して罰金刑が科された場合は、Cの免許は取り消されます(宅建業法5条1項6号、66条1項1号)。
4 × 法人である宅建業者の役員や政令で定める使用人が免許の欠格要件に該当した場合にはその免許は取り消されます(宅建業法66条1項3号、同法施行令2条の2)。刑法上の一定の罰金刑が科された場合は、免許の欠格要件となります。D社の非常勤の役員が欠格事由に該当しているので、D社の免許は取り消されます。

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問30:宅建業法: 営業保証金

問題文: 宅地建物取引業者A(甲県知事免許)の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。なお、Aは宅地建物取引業保証協会の社員ではないものとする。
ア Aが免許を受けた日から 6 か月以内に甲県知事に営業保証金を供託した旨の届出を行わないとき、甲県知事はその届出をすべき旨の催告をしなければならず、当該催告が到達した日から 1 か月以内にAが届出を行わないときは、その免許を取り消すことができる。
イ Aは、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添付して、その旨を甲県知事に届け出なければならず、当該届出をした後でなければ、その事業を開始することができない。
ウ Aは、営業保証金が還付され、甲県知事から営業保証金が政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受け、その不足額を供託したときは、30 日以内に甲県知事にその旨を届け出なければならない。
エ Aが免許失効に伴い営業保証金を取り戻す際、供託した営業保証金につき還付を受ける権利を有する者に対し、 3 か月を下らない一定期間内に申し出るべき旨を公告し、期間内にその申出がなかった場合でなければ、取り戻すことができない。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 1

アは× 免許権者は、免許をした日から3月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしないときは、その届出をすべき旨の催告をしなければなりません(宅建業法25条6項)。もしも宅建業者が、この催告が到達した日から1月以内に届出をしなかったときは、免許が取り消されることがあります(同法25条7項)。そして、宅建業者は、その旨を届け出た後でなければ、宅建業の業務を開始することができません(同法25条5項)。
イは〇 宅建業者は、営業保証金を供託したときは、その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して、その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法25条4項)。そして、営業保証金を主たる事務所のもよりの供託所に供託し、かつ、その旨を免許権者に届け出た後でなければ、その事業を開始することはできません(同法25条5項)。
ウは× 宅建業者は、営業保証金の還付がなされたことで免許権者から政令で定める額に不足が生じた旨の通知を受けたときは、その日から2週間以内にその不足額を供託し(宅建業法28条1項、営業保証金規則3条、4条)、供託した日から2週間以内にその旨(不足額を供託した旨)を免許権者に届出しなければなりません(宅建業法28条2項)。
エは× 宅建業者は、免許の失効に伴い営業保証金を取り戻す場合は、還付請求権者に対し、「6か月を下らない一定期間内」にその旨申し出るべきことを公告し、その期間内にその申出がなかったときでなければ、営業保証金を取り戻すことができません(宅建業法30条2項)。設問の「3か月を下らない一定期間内」ではありません。
正しいものは、イの1つになります。

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問31:宅建業法: 広告についての規制

問題文: 宅地建物取引業者がその業務に関して行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。なお、この問において「建築確認」とは、建築基準法第 6 条第 1 項の確認をいうものとする。
1  宅地又は建物の売買に関する注文を受けたときは、遅滞なくその注文をした者に対して取引態様の別を明らかにしなければならないが、当該注文者が事前に取引態様の別を明示した広告を見てから注文してきた場合においては、取引態様の別を遅滞なく明らかにする必要はない。
2  既存の住宅に関する広告を行うときは、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施しているかどうかを明示しなければならない。
3  これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、当該建物の売買の媒介に関する広告をしてはならないが、貸借の媒介に関する広告はすることができる。
4  販売する宅地又は建物の広告に関し、著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるだけでなく、懲役若しくは罰金に処せられ、又はこれを併科されることもある。


解答 4

1 × 宅建業者が広告をするときは、取引態様の別(当事者or媒介or代理の別)を明示し、そして注文を受けたときは、遅滞なく、取引態様の別を明示しなければなりません(宅建業法34条1項)。取引態様の別が明示されている広告を見た者に対しても、注文を受ける時には、再度取引態様の別をキチンと明示しなければなりません。
2 × 既存の住宅に関する広告をする場合に、建物状況調査を実施しているかどうかについては、明示する必要はありません(宅建業法34条1項)。「建物状況調査」とは、建物の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として省令で定めるものであって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識および能力を有する者として省令で定めるものが実施するものをいいます(同法34条の2第1項4号)。
3 × 宅建業者は、宅地の造成または建物の建築に関する工事の完了前においては、当該工事に関し必要とされる許可や確認等があった後でなければ、当該工事に係る宅地または建物の売買その他の業務に関する広告をしてはいけません(宅建業法33条)。ですので、これから建築工事を行う予定である建築確認申請中の建物については、その建物の売買の媒介に関する広告も貸借の媒介に関する広告もすることができません。
4 〇 宅建業者は、その業務に関して広告をするときは、その広告に係る宅地または建物の所在や利便性、代金等について、著しく事実に相違する表示をし、または実際のものよりも著しく優良であり、もしくは有利であると人を誤認させるような表示をしてはなりません(宅建業法32条)。宅建業者がその販売する宅地または建物の広告に関して著しく事実に相違する表示をした場合、監督処分の対象となるほか、懲役・罰金に処せられたり、またはこれらを併科される場合もあります(同法65条、81条1号)。

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問32:宅建業法: 届出等

問題文: 宅地建物取引業者が行う届出に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1  宅地建物取引業者A(甲県知事免許)が、新たに宅地建物取引業を営む支店を甲県内に設置した場合、Aはその日から 30 日以内にその旨を甲県知事に届け出なければならない。
2  宅地建物取引業者B(乙県知事免許)が、宅地建物取引業者ではないCとの合併により消滅した場合、Bを代表する役員であった者は、その日から 30 日以内にその旨を乙県知事に届け出なければならない。
3  宅地建物取引業者D(丙県知事免許)が、本店における専任の宅地建物取引士Eの退職に伴い、新たに専任の宅地建物取引士Fを本店に置いた場合、Dはその日から 30 日以内にその旨を丙県知事に届け出なければならない。
4  宅地建物取引業者G(丁県知事免許)が、その業務に関し展示会を丁県内で実施する場合、展示会を実施する場所において売買契約の締結(予約を含む。)又は売買契約の申込みの受付を行うときは、Gは展示会での業務を開始する日の 5 日前までに展示会を実施する場所に ついて丁県知事に届け出なければならない。


解答 4

1 〇 宅建業者は、業者名簿の記載事項について、事務所の名称及び所在地が変更になったときは、30日以内に、その旨を免許権者に届け出をしなければなりません(宅建業法9条、8条2項5号)。Aが新たに宅建業を営む支店を甲県内に設置した場合、事務所の名称及び所在地が変更になったことになりますので、Aは、その設置した日から30日以内にその旨を甲県知事に対して届け出なければなりません。
2 〇 法人である宅建業者が合併により消滅した場合、合併によって消滅した法人を代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を免許権者に届け出をしなければなりません(宅建業法11条1項2号)。Bが、宅建業者でないCとの合併によって消滅した場合は、Bを代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に対して届け出をしなければなりません。
3 〇 宅建業者は、事務所ごとに置く成年者である専任の取引士の氏名が変更になったときは、30日以内に、その旨を免許権者に届け出をしなければなりません(宅建業法9条、8条2項6号)。Dが、本店における専任の取引士の退職に伴って新たに専任の取引士を本店に置いた場合は、Dは、その日から30日以内に、その旨を丙県知事に対して届け出をしなければなりません。
4 × 宅建業者は、宅建業法50条2項の規定に基づき業務を行う場所を設置する場合は、あらかじめ、その業務を開始する10日前までに、免許権者およびその所在地を管轄する都道府県知事に届け出をしなければなりません(宅建業法50条2項、同法施行規則19条3項)。設問におけるGがその業務に関し展示会を実施する場合、その展示会を実施する場所において売買契約の締結(売買契約の予約を含む。)または売買契約の申込みの受付を行うときは、その業務を開始する日の10日前までに、展示会を実施する場所について、丁県知事に対して届け出をしなければなりません(同法31条の3第1項、同法施行規則15条の5の2第4号)。

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問33:宅建業法: 重要事項の説明

問題文: 宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1  甲宅地を所有する宅地建物取引業者Aが、乙宅地を所有する宅地建物取引業者ではない個人Bと、甲宅地と乙宅地の交換契約を締結するに当たって、Bに対して、甲宅地に関する重要事項の説明を行う義務はあるが、乙宅地に関する重要事項の説明を行う義務はない。
2  宅地の売買における当該宅地の引渡しの時期について、重要事項説明において説明しなければならない。
3  宅地建物取引業者が売主となる宅地の売買に関し、売主が買主から受領しようとする金銭のうち、買主への所有権移転の登記以後に受領するものに対して、宅地建物取引業法施行規則第16条の4に定める保全措置を講ずるかどうかについて、重要事項説明書に記載する必要がある。
4  重要事項説明書の電磁的方法による提供については、重要事項説明を受ける者から電磁的方法でよいと口頭で依頼があった場合、改めて電磁的方法で提供することについて承諾を得る必要はない。


解答 1

1 〇 宅建業者は、取引の相手方等に対して、契約が成立するまでの間に、宅建士に一定の事項について、これらの事項を記載した書面等を交付して説明をさせなければなりません(宅建業法35条1項)。設問の場合、甲宅地を所有する宅建業者Aが、乙宅地を所有する宅建業者ではない個人Bとの間で甲宅地と乙宅地との交換契約を締結するにあたっては、相手方であるBに対して甲宅地に関する重要事項の説明をしなければいけません。ですが、相手方Bの所有する乙宅地については、重要事項説明義務はありません。
2 × 宅地または建物の引渡しの時期については、35条の重要事項としては説明する必要がありません。宅地または建物の引渡しの時期は、契約締結時の交付書面等(37条書面等)の方には必ず記載しなければなりません(宅建業法37条1項4号)。
3 × 宅建業者は、支払金または預り金を受領する場合には、保全措置を講ずるかどうか、およびその措置を講ずる場合におけるその措置の概要を説明しなければなりません(宅建業法35条1項11号)。保全措置を講ずる必要のない金額の手付金を受領する場合や、買主への当該物件についての所有権移転登記が行われた後で受領するものについては、保全措置を講ずるか否かにつき、重要事項説明書等に記載する必要はありません(宅建業法35条1項11号、同法施行規則16条の3、16条の4)。
4 × 宅建業者は、重要事項説明書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、相手方等の承諾を得て、宅建士士に、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法であって一定の措置を講ずるものとして国土交通省令で定めるものにより提供させることができます(宅建業法35条1項、8項)。そして、重要事項説明書の電磁的方法による措置について、重要事項説明を受ける相手方から、電磁的方法によるものでよいとの口頭での依頼があった場合であっても、あらためて、電磁的方法で提供することについての承諾を、一定の方法で得ておく必要があります(同法施行令3条の3第1項、宅建業法 解釈・運用の考え方法35条8項関係)。

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問34:宅建業法: 報酬の額

問題文: 宅地建物取引業者A(消費税課税事業者)は貸主Bから建物の貸借の媒介の依頼を受け、宅地建物取引業者C(消費税課税事業者)は借主Dから建物の貸借の媒介の依頼を受け、BとDとの間で、 1 か月分の借賃を12万円(消費税等相当額を含まない。)とする賃貸借契約(以下この問において「本件契約」という。)を成立させた場合における次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 本件契約が建物を住居として貸借する契約である場合に、Cは、媒介の依頼を受けるに当たってDから承諾を得ないまま、132,000円の報酬を受領した。
イ AはBから事前に特別な広告の依頼があったので、依頼に基づく大手新聞掲載広告料金に相当する額をBに請求し、受領した。
ウ CはDに対し、賃貸借契約書の作成費を、Dから限度額まで受領した媒介報酬の他に請求して受領した。
エ 本件契約が建物を事務所として貸借する契約である場合に、報酬として、AはBから132,000円を、CはDから132,000円をそれぞれ受領した。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 3

アは違反。 宅建業者が建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(消費税等相当額を含む)の合計額は、その建物の借賃(当該借賃に係る消費税等相当額を含みません)の1か月分の1.1倍に相当する金額以内でなければいけません。ただし、居住用建物の賃貸借の媒介に関して依頼者の一方から受けることのできる報酬の額は、その媒介の依頼を受けるにあたって依頼者の承諾を得ている場合を除いて、借賃の1か月分の0.55倍に相当する金額以内でなければいけません(宅建業法46条1項、報酬額告示4)。
イは違反しません。 宅建業者は、依頼者の特別の依頼によって行う広告料金相当額については、報酬額とは別に受領することができます。そのため設問のように依頼主から特別の依頼を受けて広告をした分についてはその広告料金に相当する額を別途受領することができます(宅建業法46条1項、報酬額告示9)。
ウは違反。 宅建業者は、報酬額とは別に賃貸借契約書の作成費用を受領することまではできません(宅建業法46条1項、報酬額告示9)。
エは違反。 宅建業者が居住用以外の建物の貸借の媒介に関して依頼者の双方から受けることのできる報酬の額(消費税等相当額を含む)の合計額は、その建物の借賃(当該借賃に係る消費税等相当額を含みません)の1か月分の1.1倍に相当する金額以内でなければいけません(宅建業法46条1項、報酬額告示4、宅建業法 解釈・運用の考え方)。

違反するものは、ア・ウ・エの3つとなります。
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問35:宅建業法: クーリング・オフ

問題文: 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bから宅地の買受けの申込みを受けた場合における宅地建物取引業法第37条の2の規定に基づくいわゆるクーリング・オフに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1  Aは、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた際、以後の取引について、その取引に係る書類に関してBから電磁的方法で提供をすることについての承諾を得た場合、クーリング・オフについて電磁的方法で告げることができる。
2  Aが、仮設テント張りの案内所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、クーリング・オフについて告げられた日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。
3  Aが、Aの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に電磁的方法により当該申込みの撤回を申し出れば、申込みの撤回を行うことができる。
4  Aが、売却の媒介を依頼している宅地建物取引業者Cの事務所でBから買受けの申込みを受けた場合、Bは、申込みの日から8日以内に書面により当該申込みの撤回を申し出ても、申込みの撤回を行うことができない。


解答 4

1 × 宅建業法37条の2の規定に基づく売買契約の撤回(クーリング・オフ)については、そのクーリング・オフができる旨の告知は書面をもって行う必要があります(宅建業法37条の2第1項1号、同法施行規則16条の6)。相手方の承諾を得たとしても、電磁的方法によって告げることはできません。重要事項説明書・37条書面と異なりますので注意しましょう。
2 × 宅建業法37条の2の規定に基づく売買契約の撤回(クーリング・オフ)については、書面をもって行う必要があります(宅建業法37条の2第1項)。電磁的方法によって撤回することはできません。
3 × 売主の宅建業者の事務所や国土交通省令・内閣府令で定める場所で契約等をした場合はクーリング・オフができません(宅建業法37条の2第1項、同法施行規則16条の5)。宅建業者Aの事務所でBは契約の申込みをしており、Bはクーリング・オフができません。なお、宅建業法37条の2の規定に基づく売買契約の撤回(クーリング・オフ)については、書面をもって行う必要があります。電磁的方法によって撤回することはできません。
4 〇 売主の宅建業者の事務所や国土交通省令・内閣府令で定める場所で契約等をした場合はクーリング・オフができません(宅建業法37条の2第1項、同法施行規則16条の5・1号ハ)。よって、設問のBは、申込みの日から8日以内に書面をもってクーリング・オフによる買受申し込みの撤回を行うことはできません。

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問36:宅建業法: 禁止事項

問題文: 次の記述のうち、宅地建物取引業者Aが行う業務に関して宅地建物取引業法の規定に違反するものはいくつあるか。
ア 建物の貸借の媒介に際して、賃借の申込みをした者がその撤回を申し出たので、Aはかかった諸費用を差し引いて預り金を返還した。
イ Aは、売主としてマンションの売買契約を締結するに際して、買主が手付として必要な額を今すぐには用意できないと申し出たので、手付金の分割払いを買主に提案した。
ウ Aは取引のあったつど、その年月日やその取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他必要な記載事項を帳簿に漏らさず記載し、必要に応じて紙面にその内容を表示できる状態で、電子媒体により帳簿の保存を行っている。
エ Aはアンケート調査を装ってその目的がマンションの売買の勧誘であることを告げずに個人宅を訪問し、マンションの売買の勧誘をした。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 3

アは違反。 宅建業者およびその代理人・使用人・従業者が、宅建業に係る契約の締結に関する行為または申込みの撤回を行うに際し、既に受領した預り金を返還することを拒むことは、宅建業法に違反します(宅建業法47条の2第3項、同法施行規則16条の11第2号)。宅建業者の相手方等が売買契約の申込みの撤回を行うに際して、既に受領した預り金を返還する際にかかった諸費用等を差し引いてから預り金を返還するのは宅建業法違反です。
イは違反。 宅建業者は、その業務に関して、相手方等に対し、手付について貸付けその他信用の供与をすることによって契約の締結を誘引してはなりません(宅建業法47条3号、宅建業法 解釈・運用の考え方)。設問の場合、Aの手付金の分割払いの提案は、信用の供与となります。そのため宅建業法違反です。
ウは違反しません。 宅建業者は、その事務所ごとに、その業務に関する帳簿(電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスクを含む。)を備え、宅建業に関し取引のあったつど、その年月日、その取引に係る宅地または建物の所在および面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません。帳簿については、取引のあったつど必要な事項を記載し、必要に応じ紙面にその内容を表示できる状態にしておくことで、電子媒体による帳簿の保存をすることも可能です(宅建業法49条、同法施行規則18条2項、宅建業法 解釈・運用の考え方)。
エは違反。 宅建業者およびその代理人・使用人・従業者は、宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し、その相手方等に対し、勧誘に先立って宅建業者の商号または名称およびその勧誘を行う者の氏名並びにその契約の締結について勧誘をする目的である旨を告げないで勧誘を行ってはいけません(宅建業法47条の2第3項、同法施行規則16条の11第1号ハ)。そのため設問は宅建業法違反です。
違反するものは、ア・イ・エの3つとなります。

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問37:宅建業法: 業務上の規制

問題文: 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  宅地建物取引業者は、非常勤役員には従業者であることを証する証明書を携帯させる必要はない。
2  宅地建物取引業者は、その事務所ごとに従業者名簿を備えなければならないが、取引の関係者から閲覧の請求があった場合であっても、宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に、閲覧を拒むことができる。
3  宅地建物取引業者の従業者は、宅地の買受けの申込みをした者から請求があった場合には、その者が宅地建物取引業者であっても、その者に従業者であることを証する証明書を提示する必要がある。
4  宅地建物取引業者は、従業者名簿を最終の記載をした日から 5 年間保存しなければならない。


解答 3

1 × 宅建業者は、常勤の従業員のほか、代表者(いわゆる社長さん)、非常勤の役員、一時的に事務の補助をする者にも従業者証明書を携帯させなければなりません(宅建業法48条1項、宅建業法 解釈・運用の考え方)。非常勤の役員も、従業者に含まれますので、従業者証明書を携帯させなければなりません。
2 × 宅建業者は、その事務所ごとに、従業者名簿(電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスクを含む。)を備え、従業者の氏名、従業者証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません。そして、取引の関係者から請求があったときは従業者名簿を閲覧させなければなりません(宅建業法48条3項・4項)。取引の関係者から閲覧請求を受けたときは、守秘義務があるからといって閲覧請求を拒むということはできません(宅建業法 解釈・運用の考え方)。
3 〇 宅建業者の従業者は、その業務に従事する間、従業者証明書を常に携帯して、取引の関係者から請求があったときは、従業者証明書を提示しなければなりません。そして、宅建業者の従業者は、取引の相手方が同じく宅建業者であるという場合でも、その請求により従業者証明書を提示しなければなりません(宅建業法48条2項、78条2項)。
4 × 宅建業者は、その事務所ごとに、従業者名簿(電子計算機に備えられたファイルまたは磁気ディスクを含む。)を備え、従業者の氏名、従業者証明書の番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません(宅建業法48条3項)。そして、この従業者名簿は、最終記載日から10年間保存しておかなければなりません(同法施行規則17条の2第4項)。5年間保存しておくのではアリマセン。

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問38:宅建業法: 宅建業法上の定義

問題文: 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引業者Aが、自ら所有する複数の建物について、複数人に対し、反復継続して賃貸する行為は、宅地建物取引業に該当しない。
イ 宅地建物取引士とは、宅地建物取引士資格試験に合格し、都道府県知事の登録を受けた者をいう。
ウ 建設業者Bが、建築請負工事の受注を目的として、業として宅地の売買の媒介を行う行為は、宅地建物取引業に該当しない。
エ 宅地建物取引士は、宅地又は建物の取引に係る事務に必要な知識及び能力の維持向上に努めなければならない。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 2

アは〇 自ら貸借は、宅建業ではありません(宅建業法2条2項)。自ら所有する複数の建物について、複数人に対して反復継続して賃貸しても、宅建業に該当しません。
イは× 宅地建物取引士は、@試験に合格、A都道府県知事の登録を受ける、B当該知事から宅建士証の交付を受ける、の@ABを備えた者のことです。@Aまででは、宅建士ではありません(宅建業法2条4号、18条1項、22条の2第1項)。
ウは× 宅建業とは、宅地もしくは建物(建物の一部を含む)の売買もしくは交換または宅地もしくは建物の売買、交換もしくは貸借の代理もしくは媒介をする行為で業として行うものをいいます(宅建業法2条2号)。建設業者であっても、業として宅地の媒介を行うのであれば、当該行為は宅建業の免許が必要な宅建業に当たります。
エは〇 宅地建物取引士は、宅地または建物の取引に係る事務に必要な知識および能力の維持向上に努めなければなりません(宅建業法15条の3)。
正しいものは、ア・エです。

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問39:宅建業法: 手付金等の保全措置

問題文: 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない個人Bとの間で宅地の売買契約を締結する場合における手付金の保全措置に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、当該契約に係る手付金は保全措置が必要なものとする。
1  Aは、Bから手付金を受領した後に、速やかに手付金の保全措置を講じなければならない。
2  Aは、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険期間は保証保険契約が成立した時から宅地建物取引業者が受領した手付金に係る宅地の引渡しまでの期間とすればよい。
3  Aは、手付金の保全措置を保証保険契約を締結することにより講ずる場合、保険事業者との間において保証保険契約を締結すればよく、保険証券をBに交付する必要はない。
4  Aは、手付金の保全措置を保証委託契約を締結することにより講ずるときは、保証委託契約に基づいて銀行等が手付金の返還債務を連帯して保証することを約する書面のBへの交付に代えて、Bの承諾を得ることなく電磁的方法により講ずることができる。


解答 2

1 × 宅建業者は、自ら売主となる未完成物件の売買では、手付金等が代金の5%超または1,000万円超のときは保全措置を講じなければ受領できません。また、宅建業者は、自ら売主となる完成物件の売買では、手付金等が代金の10%超または1,000万円超のときは保全措置を講じなければ受領できません(宅建業法41条1項1号、41条の2第1項1号、同法施行令3条の5)。そのため手付金等の保全措置は、手付金等の受領前に講じておかなければ、手付金等を受領することができません。
2 〇 保険事業者との間で締結される保証保険契約は、その保険期間が少なくとも保証保険契約が成立した時から宅建業者が受領した手付金等に係る宅地または建物の引渡しまでの期間であることがその要件となっています(宅建業法41条3項2号)。
3 × 宅建業者は、保全措置として保証保険契約を利用する場合には、保証保険契約を締結し、かつ、保険証券またはこれに代わるべき書面を買主に交付することが必要です。保険事業者との間において保証保険契約を締結したときは、保険証券を買主に対して交付しておかなければなりません(宅建業法41条1項2号、41条の2第1項)。
4 × 銀行等との間の保全措置とは、宅建業者と銀行等との間で保証委託契約を締結し、宅建業者が手付金等の返還債務を負うこととなった場合に、銀行等がその債務を連帯して保証するものをいいます。保証委託契約を締結したときは、宅建業者は、銀行等が連帯して保証することを約する書面を買主に交付しなければなりません。この保険証券を買主に対して交付するにあたり、買主の承諾を得ることで、一定の電磁的方法によって交付することができます(宅建業法41条1項1号・5項1号、41条の2第1項)。

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問40:宅建業法: 媒介契約

問題文: 宅地建物取引業者Aが、BからB所有の中古住宅の売却の依頼を受け、専任媒介契約(専属専任媒介契約ではないものとする。)を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法(以下この問において「法」という。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1  Aは、当該中古住宅について購入の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨をBに報告しなければならないが、Bの希望条件を満たさない申込みだとAが判断した場合については報告する必要はない。
2  Aは、法第34条の2第1項の規定に基づく書面の交付後、速やかに、Bに対し、法第34条の2第1項第4号に規定する建物状況調査を実施する者のあっせんの有無について確認しなければならない。
3  Aは、当該中古住宅について法で規定されている事項を、契約締結の日から休業日数を含め7日以内に指定流通機構へ登録する義務がある。
4  Aは、Bが他の宅地建物取引業者の媒介又は代理によって売買の契約を成立させたときの措置を法第34条の2第1項の規定に基づく書面に記載しなければならない。


解答 4

1 × 媒介契約を締結した宅建業者は、当該媒介契約の目的物である宅地または建物の売買または交換の申込みがあったときは、遅滞なく、その旨を依頼者に報告しなければなりません(宅建業法34条の2第8項)。申込みについて、依頼者の希望する条件を満たさない申込みであると判断した場合であっても、遅滞なく、申込みのあった旨を依頼者に対して報告する義務があります。
2 × 媒介契約の対象が既存の建物である場合は、依頼者に対する建物状況調査(建物の構造耐力上主要な部分または雨水の浸入を防止する部分として国土交通省令で定めるものの状況の調査であって、経年変化その他の建物に生じる事象に関する知識及び能力を有する者として国土交通省令で定める者が実施するもの)を実施する者のあっせんに関する事項を、媒介契約書面に記載しなければなりません(宅地建物取引業法34条の2第1項4号)。媒介契約書面に記載するのであり、書面の交付後に当該あっせんの有無について確認するのではありません。
3 × 宅建業者は、専任媒介契約を締結したときは、契約の相手方を探索するため、媒介契約の締結の日から7日以内に、媒介契約の目的物である宅地または建物につき、所在、規模、形質、売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を、指定流通機構に登録しなければなりません(宅建業法34条の2第5項)。ただし、この7日以内には、宅建業者の休業日は含まれません(同法施行規則15条の10)。
4 〇 専任媒介契約を締結した宅建業者は、依頼者が他の宅建業者の媒介又は代理によって売買契約を成立させたときの措置について、媒介契約書面に記載しなければなりません(宅建業法34条の2第1項8号、同法施行規則15条の9第1号)。

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問41:宅建業法: 監督処分

問題文: 次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  甲県知事は、宅地建物取引士に対して必要な報告を求めることができるが、その対象は、甲県知事登録の宅地建物取引士であって、適正な事務の遂行を確保するために必要な場合に限られる。
2  宅地建物取引業者A(甲県知事免許)で専任の宅地建物取引士として従事しているB(甲県知事登録)が、勤務実態のない宅地建物取引業者C(乙県知事免許)において、自らが専任の宅地建物取引士である旨の表示がされていることを許した場合には、乙県知事は、Bに対し、必要な指示をすることができる。
3  宅地建物取引士が不正の手段により宅地建物取引士証の交付を受けた場合においては、その登録をしている都道府県知事は、情状が特に重いときは、当該宅地建物取引士の登録を消除することができる。
4  都道府県知事は、宅地建物取引士に対して登録消除処分を行ったときは、適切な方法で公告しなければならない。


解答 2

1 × 都道府県知事は、その登録を受けている宅建士および当該都道府県の区域内で宅建業を営む宅建士に対して、必要な報告を求めることができます(宅建業法72条1項・3項)。甲県知事は、「当該都道府県の区域内ので宅建業を営む宅建士」に対して必要な報告を求めることができるので、甲県知事に登録している宅建士には限られません。
2 〇 都道府県知事は、その登録を受けている宅建士が一定の事項に該当する場合においては、当該宅建士に対して必要な指示をすることができます。また、都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている宅建士が一定の事項に該当する場合においては、当該宅建士に対して必要な指示をすることができます(宅建業法68条1項1号.3項)。設問の場合、乙県知事は、Bに対して必要な指示をすることができます。
3 × 都道府県知事は、その登録を受けている宅建士が不正の手段により宅建士証の交付を受けた場合には、その登録を消除しなければいけません(宅建業法68条の2第1項3号)。登録を任意で消除することができるということではありません。
4 × 都道府県知事が宅建士について登録消除処分を行った場合、その旨を公告する必要はありません(宅建業法70条1項)。

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問42:宅建業法: 重要事項の説明

問題文: 宅地建物取引業法第 35 条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはいくつあるか。
ア 宅地建物取引士は、重要事項説明をする場合、取引の相手方から請求されなければ、宅地建物取引士証を相手方に提示する必要はない。
イ 売主及び買主が宅地建物取引業者ではない場合、当該取引の媒介業者は、売主及び買主に重要事項説明書を交付し、説明を行わなければならない。
ウ 宅地の売買について売主となる宅地建物取引業者は、買主が宅地建物取引業者である場合、重要事項説明書を交付しなければならないが、説明を省略することはできる。
エ 宅地建物取引業者である売主は、宅地建物取引業者ではない買主に対して、重要事項として代金並びにその支払時期及び方法を説明しなければならない。
1  一つ
2  二つ
3  三つ
4  四つ


解答 3

アは× 宅建士は、重要事項の説明をするときは、説明の相手方に対し、宅建士証を提示しなければなりません(宅建業法35条4項)。重要事項の説明の際には必ず宅建士証の提示が必要とされております。その請求の有無は関係ありません。
イは× 宅建業者は、取引の相手方等に対して、契約が成立するまでの間に、宅建士をして、一定の事項について、これらの事項を記載した書面等を交付して説明をさせなければなりません(宅建業法35条1項)。売主に対しては、重要事項説明義務はありません。
ウは〇 相手方等が宅建業者である場合でも、重要事項説明の規定は適用されます(宅建業法35条1項)。ただし、重要事項説明は省略できます(同条6項)。
エは× 代金の額、支払の時期及び支払方法については、重要事項説明時において説明を要する重要事項とはされていません(宅建業法35条1項)。代金の額等は、契約締結時交付書面(37条書面)には必ず記載しなければなりません(同法37条1項3号)。そして代金の額の記載については、その売買につき課されるべき消費税等相当額はこれを明記しなければなりません(宅建業法の解釈・運用の考え方)。

誤っているものは、ア・イ・エの3つとなります。
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問43:宅建業法: 37条書面

問題文: 宅地建物取引業者Aが媒介により宅地の売買契約を成立させた場合における宅地建物取引業法第 37 条の規定により交付すべき書面(以下この問において「37条書面」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1  Aは、買主が宅地建物取引業者であるときは、37 条書面に移転登記の申請時期を記載しなくてもよい。
2  Aは、37 条書面を売買契約成立前に、各当事者に交付しなければならない。
3  Aは、37 条書面を作成したときは、専任の宅地建物取引士をして37条書面に記名させる必要がある。
4  Aは、天災その他不可抗力による損害の負担に関する定めがあるときは、その内容を37条書面に記載しなければならない。


解答 4

1 × 宅建業者が媒介する場合、買主が宅建業者であっても契約締結時の交付書面(37条書面)の交付は省略できません。そして、「移転登記の申請時期」は37条書面の必須記載事項です。記載を省略することはできません(宅建業法37条1項5号)。
2 × 契約締結時の交付書面(37条書面)は、その契約成立後遅滞なく、契約の両当事者に対して交付しなければいけません。売買契約の成立前に交付するのではありません。
3 × 契約締結時の交付書面(37条書面)は、宅建業者は、37条書面を作成した場合、宅建士をして、その書面に記名をさせなければなりません(宅建業法37条3項)。記名するものは宅建士であればよいので専任の宅建士でなくてもよいのです。
4 〇 「天災その他不可抗力による損害の負担に関する定め」がある場合は、その内容を、契約締結時の交付書面(37条書面)に必ず記載しなければいけません(宅建業法37条1項10号)。

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問44:宅建業法: 保証協会

問題文: 宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。
1  保証協会の社員は、自らが取り扱った宅地建物取引業に係る取引の相手方から当該取引に関する苦情について解決の申出が保証協会にあり、保証協会から関係する資料の提出を求められたときは、正当な理由がある場合でなければ、これを拒んではならない。
2  保証協会は、社員がその一部の事務所を廃止したことに伴って弁済業務保証金分担金を当該社員に返還しようとするときは、弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告を行わなければならない。
3  保証協会は、宅地建物取引業者の相手方から、社員である宅地建物取引業者の取り扱った宅地建物取引業に係る取引に関する損害の還付請求を受けたときは、直ちに弁済業務保証金から返還しなければならない。
4  保証協会は、手付金等保管事業について国土交通大臣の承認を受けた場合、社員が自ら売主となって行う宅地又は建物の売買で、宅地の造成又は建築に関する工事の完了前における買主からの手付金等の受領について、当該事業の対象とすることができる。


解答 1

1 〇 保証協会は、宅建業者の相手方等から社員の取り扱った宅建業に係る取引に関する苦情について解決の申出があったときは、その相談に応じ、申出人に必要な助言をし、苦情に係る事情を調査するとともに、社員に対し苦情の内容を通知してその迅速な処理を求める義務があります(宅建業法64条の5第1項、64条の3第1項1号)。保証協会に対してこの苦情の解決の申出があった場合で、保証協会から社員に対して資料の提出を求められた場合には、正当な理由のない限り拒むことができません(同条2項・3項)。
2 × 保証協会は、社員が社員の地位を失ったときは、当該社員であった者に係る宅建業に関する取引により生じた債権に関し還付を受ける権利を有する者に対し、6月を下らない一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨を公告しなければいけません。社員が一部の事務所を廃止したために弁済業務保証金分担金を返還しようとするときには、還付請求権者に対して公告をする必要はありません(宅建業法64条の11第1項・4項)。
3 × 弁済業務保証金について弁済を受ける権利を実行するときは、保証協会の認証を受けて法務大臣および国土交通大臣の定める供託所に対し還付請求をしなければなりません(宅建業法64条の8第1項・2項、64条の7第2項、弁済業務保証金規則2条1項)。還付請求権者からの還付請求が行われた場合、保証協会は、認証の手続をしなければならず、還付請求権者は認証を受けた後に、弁済業務保証金からの還付を受けることができます。そのため、還付請求は、供託所に対してしなければいけません。
4 × 保証協会は、社員である宅建業者との契約により、その宅建業者が受領した支払金または預り金の返還債務その他宅建業に関する債務を負うこととなった場合においてその返還債務その他宅建業に関する債務を連帯して保証する業務(一般保証業務)および手付金等保管事業を行うことができます(宅建業法64条の3第2項2号)。未完成物件の売買の場合、手付金等保管事業の方法(指定保管機関による保管)はできません(同法41条1項)。

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問45:住宅瑕疵担保責任履行確保法

問題文: 宅地建物取引業者Aが、自ら売主として、宅地建物取引業者ではない買主Bに新築住宅を販売する場合に関する次の記述のうち、特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律の規定によれば、正しいものはどれか。
1  Aが信託会社又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第1条第1項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業を営むものである場合、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負わない。
2  Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の売買契約を締結するまでに、Bに対し供託所の所在地等について、必ず書面を交付して説明しなければならず、買主の承諾を得ても書面の交付に代えて電磁的方法により提供することはできない。
3  Aは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該住宅の最寄りの供託所へ住宅販売瑕疵担保保証金の供託をしなければならない。
4  AB間の売買契約において、当該住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があってもAが瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった場合においても、Aは住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵 担保責任保険契約の締結を行う義務を負う。


解答 4

1 × 売主が宅建業者であり、買主が宅建業者以外の者であるときは、資力確保措置を講じなければなりません。この資力確保の措置が義務付けられているのは、宅建業者が自ら売主として新築住宅を売却する場合です。この宅建業者には、信託会社または金融機関の信託業務の兼営等に関する法律1条1項の認可を受けた金融機関であって、宅建業を営むもの(信託会社等)が含まれます(履行確保法11条1項・2項、2条4項)。
2 × 自ら売主として新築住宅を販売する宅建業者は、住宅販売瑕疵担保保証金の供託をする場合、当該新築住宅の売買契約を締結するまでに、当該新築住宅の買主に対し、当該供託をしている供託所の所在地、供託所の表示等について記載した書面を交付して説明しなければなりません(履行確保法15条)。この供託所についての説明は、書面でしなければならないこととされていますが、相手方の承諾を得ることで、電磁的方法による提供を行うこともできます(同法10条2項)。
3 × 住宅販売瑕疵担保保証金の供託は、その宅建業者の主たる事務所の最寄りの供託所に対してしなければいけません(履行確保法11条6項)。
4 〇 新築住宅の売買契約においては、売主は、買主に引き渡した時から10年間、住宅の構造耐力上主要な部分等の瑕疵について、民法に規定する担保責任を負います(品確法95条1項)。この規定に反する特約で買主に不利なものは、無効となります(同法95条2項)。ですので、AB間の契約において、当該新築住宅の構造耐力上主要な部分に瑕疵があってもAが瑕疵担保責任を負わない旨の特約があった場合でも、それは買主Bに不利なものといえますので無効となります。そしてAは、住宅販売瑕疵担保保証金の供託又は住宅販売瑕疵担保責任保険契約の締結を行う義務を負い、資力確保措置を講じなければいけません(履行確保法2条5項)。

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問46:その他の分野: 住宅金融支援機構法

問題文: 独立行政法人住宅金融支援機構(以下この問において「機構」という。)に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1  機構は、子どもを育成する家庭又は高齢者の家庭(単身の世帯を含む。)に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅の建設に必要な資金の貸付けを業務として行っている。
2  機構は、証券化支援事業(買取型)において、新築住宅に対する貸付債権のみを買取りの対象としている。
3  機構は、証券化支援事業(買取型)において、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)及び省エネルギー性、耐震性、バリアフリー性、耐久性・可変性に優れた住宅を取得する場合に、貸付金の利率を一定期間引き下げる制度を実施している。
4  機構は、マンション管理組合や区分所有者に対するマンション共用部分の改良に必要な資金の貸付けを業務として行っている。


解答 2

1 〇 機構は、子どもを育成する家庭もしくは高齢者の家庭(単身の世帯を含みます)に適した良好な居住性能及び居住環境を有する賃貸住宅もしくは賃貸の用に供する住宅部分が大部分を占める建築物の建設に必要な資金(当該賃貸住宅または当該建築物の建設に付随する行為で政令で定めるものに必要な資金を含みます)または当該賃貸住宅の改良(当該賃貸住宅とすることを主たる目的とする人の居住の用その他その本来の用途に供したことのある建築物の改良を含みます)に必要な資金の貸付けを業務として行っています(住宅金融支援機構法13条1項8号)。
2 × 証券化支援事業(買取型)において、機構による買取りの対象となる貸付債権には、中古住宅の購入のための貸付債権も含まれます。機構は、住宅の建設または購入に必要な資金の貸付けに係る一定の金融機関の貸付債権の譲受業務を行いますが、 機構による買取りの対象となる貸付債権は、「自ら居住する住宅または親族の居住の用に供する住宅」を建設し、または購入する者に対する貸付債権に係わるものとされています(住宅金融支援機構法13条1項1号 、住宅金融支援機構に関する省令3条1号)。新築住宅・中古住宅どちらの購入のための貸付債権でもOKということです。
3 〇 問題文の記述のとおりです。住宅金融支援機構は、フラット35Sとして、ZEHおよび省エネルギー性・耐久性・可変性等に優れた住宅の取得について、貸付金の利率を一定期間引き下げる制度を設けています。
4 〇 機構は、合理的土地利用建築物の建設もしくは合理的土地利用建築物で人の居住の用その他その本来の用途に供したことのないものの購入に必要な資金(当該合理的土地利用建築物の建設又は購入に付随する行為で政令で定めるものに必要な資金を含みます)またはマンションの共用部分の改良に必要な資金の貸付けを行っています(住宅金融支援機構法13条1項7号)。

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問47:その他の分野: 景品表示法、公正競争規約

問題文: 宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。)の規定によれば、正しいものはどれか。
1  実際には取引する意思がない物件であっても実在するものであれば、当該物件を広告に掲載しても不当表示に問われることはない。
2  直線距離で 50 m 以内に街道が存在する場合、物件名に当該街道の名称を用いることができる。
3  物件の近隣に所在するスーパーマーケットを表示する場合は、物件からの自転車による所要時間を明示しておくことで、徒歩による所要時間を明示する必要がなくなる。
4  一棟リノベーションマンションについては、一般消費者に対し、初めて購入の申込みの勧誘を行う場合であっても、「新発売」との表示を行うことはできない。


解答 2

1 × 事業者は、物件は存在していても、実際には取引する意思がない物件に関する広告表示をしてはいけません。物件は存在していても実際には取引する意思のない物件に関する表示はおとり広告に該当するので、禁止の対象です(不動産の表示に関する公正競争規約21条)。
2 〇 当該物件からその距離が直線距離で50m以内に存在する街道その他の道路の名称(坂名を含みます)の名称は、物件の名称として使用することができます(不動産の表示に関する公正競争規約19条1項4号)。
3 × デパート、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、商店等の商業施設は、現に利用することのできるものについて、物件からの道路距離または徒歩所要時間を明示の上表示することができます(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則9条31号)。
4 × 新たに造成された宅地、新築の住宅(造成工事又は建築工事完了前のものを含みます)または一棟リノベーションマンションについて、一般消費者に対して初めて申込みの勧誘を行う場合については、新発売と表示することができます(不動産の表示に関する公正競争規約18条1項2号)。

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問48:その他の分野: 統計問題(参考問題)

問題文: 次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1  令和3年度宅地建物取引業法の施行状況調査(令和4年9月公表)によれば、令和4年3月末における宅地建物取引業者の全事業者数は14万業者を超え、8年連続で増加した。
2  令和5年地価公示(令和5年3 月公表)によれば、令和4年1 月以降の1年間の地価について、地方圏平均では、全用途平均、住宅地、商業地のいずれも2年連続で上昇し、工業地は6年連続で上昇した。
3  建築着工統計調査報告(令和4年計。令和5年1月公表)によれば、令和4年の民間非居住建築物の着工床面積は、前年と比較すると、工場及び倉庫は増加したが、事務所及び店舗が減少したため、全体で減少となった。
4  年次別法人企業統計調査(令和3年度。令和4年9月公表)によれば、令和3年度における不動産業の売上高営業利益率は11.1%と2年連続で前年度と比べ上昇し、売上高経常利益率も12.5%と2年連続で前年度と比べ上昇した。


解答 1

1 × 令和3年度宅地建物取引業法の施行状況調査(令和4年9月公表)によれば、令和4年3月末(令和3年度末)現在での宅地建物取引業者数は大臣免許が2,776業者、知事免許が125,821業者であり、全体では128,597業者となっています。設問のように14万業者を超えてはいません。
2 〇 正しい記述です。令和5年地価公示(令和5年3月公表)によれば、令和4年1月以降の1年間の地下については、地方圏平均では、全用途平均・住宅地・商業地のいずれも2年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。工業地は6年連続で上昇し、上昇率が拡大しました。
3 〇 正しい記述です。建築着工統計調査報告(令和4年計。令和5年1月公表)によれば、民間非居住建築物の着工床面積については、 前年と比較すると、工場および倉庫は増加しましたが、事務所および店舗が減少したため、全体で減少となりました。
4 〇 正しい記述です。令和3年度における不動産業の売上高営業利益率および売上高経常利益率について、問題文の記述のとおりです。

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問49:その他の分野: 土地について

問題文: 土地に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1  自然堤防の後背湿地側の縁は、砂が緩く堆積していて、地下水位も浅いため、地震時に液状化被害が生じやすい地盤である。
2  谷底低地に軟弱層が厚く堆積している所では、地震動が凝縮されて、震動が小さくなる。
3  1923年の関東地震の際には、東京の谷底低地で多くの水道管や建物が被害を受けた。
4  大都市の近郊の丘陵地では、丘を削り谷部に盛土し造成宅地が造られたが、盛土造成に際しては、地下水位を下げるため排水施設を設け、締め固める等の必要がある。


解答 2

1 適当。 自然堤防の後背湿地側の縁は、砂が緩く堆積していて、地下水位も浅いため、地震時に液状化被害が生じやすい地盤です。
2 不適当。 谷底低地に軟弱層が厚く堆積している所では、地震動が増幅されるため、その震動は大きくなります。
3 適当。 1923年の関東地震の際には、東京の谷底低地で多くの水道管や建物が被害を受けました。
4 適当。 大都市の近郊の丘陵地では、その盛土造成に際しては、地下水位を下げるため排水施設を設け、締め固める等の必要があります。

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問50:その他の分野: 建物について

問題文: 建物の構造と材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1  鉄筋コンクリート構造は、地震や風の力を受けても、躯体の変形は比較的小さく、耐火性にも富んでいる。
2  鉄筋コンクリート構造は、躯体の断面が大きく、材料の質量が大きいので、建物の自重が大きくなる。
3  鉄筋コンクリート構造では、鉄筋とコンクリートを一体化するには、断面が円形の棒鋼である丸鋼の方が表面に突起をつけた棒鋼である異形棒鋼より、優れている。
4  鉄筋コンクリート構造は、コンクリートが固まって所定の強度が得られるまでに日数がかかり、現場での施工も多いので、工事期間が長くなる。


解答 3

1 適当。 鉄筋コンクリート構造は、地震や風の力を受けても、躯体の変形は比較的小さく、耐火性にも富んでいます。
2 適当。 鉄筋コンクリート構造は、躯体の断面が大きく、材料の質量が大きいので、建物の自重は大きくなります。
3 不適当。 鉄筋コンクリート構造では、、異形棒鋼の方が表面の突起の作用で断面の密着性が高くなり、鉄筋とコンクリートが一体化するので、その点、丸鋼より優れているといえます。
4 適当。 鉄筋コンクリート構造は、コンクリートが固まって所定の強度が得られるまでに日数がかかり、また現場での施工も多いので、傾向として工事期間は長くなります。

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