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マンション管理士 合格発表2023

◎令和5年度(2023年度)のマンション管理士本試験 合格発表がありました。合格されました方の番号と試験発表につきまして(公財 マンション管理センター発表)、及び中神エマ宅建研究所調べの試験問題の解説・分析(当研究所スタッフ担当分:試験問題の一部・区分所有法他)です。

(1)科目別分析
■「令和5年度マンション管理士試験」の合格発表につきまして(公財 マンション管理センターHPにリンクします。)

合格者の受験番号

令和5年度マンション管理士試験の結果について



 
(2)中神エマ宅建研究所調べのマンション管理士試験問題の解説・分析(当研究所スタッフ担当分:試験問題の一部・区分所有法他)
【問 6】正 解 3 ※難易度:易
@は正しい。区分所有者の5分の1以上で議決権の5分の1以上を有するものは、管理者に対し、会議の目的たる事項を示して、集会の招集を請求することができます(建物区分所有法34条3項)。
Aは正しい。議決権は、書面で、又は代理人によって行使することができます(建物区分所有法39条2項)。なお、区分所有者は、規約又は集会の決議により、書面による議決権の行使に代えて、電磁的方法によって議決権を行使することができます(同条3項)。
Bは誤りで、正解。集会の招集の通知をする場合において、会議の目的たる事項が一定の重要な事項の決議であるときは、その目的たる事項(議題)の他、議案の要領も通知しなければなりません(建物区分所有法35条5項)。これら一定の重要な事項には、規約の設定・変更・廃止、建替えの決議等がありますが、管理者の選任についてはその中に含まれていません。
Cは正しい。専有部分が数人の共有に属するときは、共有者は、議決権を行使すべき者一人を定めなければなりません(建物区分所有法40条)。そうでないと混乱しますね。

【問 7】正 解 2 ※難易度:やや難
アは正しい。区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはなりません(建物区分所有法6条1項)。当該101号室につき、AはBと賃貸借契約を締結してBに占有させていますが、居住用として使用収益させていますので、用法違反となるものではアリマセン。
イは誤り。建替え決議の効果については、区分所有者以外の第三者に対してその効力を有するものではなく、専有部分の占有者(賃借人)に対しても当該決議の拘束力は及びません(建物区分所有法62条)。そのため、その賃貸借契約の更新拒絶については借地借家法の規定により正当事由の有無が考慮されます(借地借家法28条)。
ウは正しい。各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取します(建物区分所有法19条)。管理組合に対して管理費等を負担して支払義務を負うのは、共用部分の共有者である区分所有者です。賃借人が管理費等として毎月支払を行ったとしても、あくまで賃貸人・賃借人間の賃貸借契約によるものであり、共有者ではない賃借人には管理費等の支払義務はアリマセン。そのため、設問の甲マンション管理組合は賃貸人であるAに対して滞納管理費等の請求を行い得ます。
エは誤り。区分所有者の承諾を得て専有部分を占有する者(賃借人)は、会議の目的たる事項につき利害関係を有する場合には、集会に出席して意見を述べることができますが、この場合には、集会を招集する者は、招集の通知を発した後遅滞なく、集会の日時、場所及び会議の目的たる事項を建物内の見やすい場所に掲示しなければなりません(建物区分所有法44条)。占有者が利害関係を有しないのであれば、そもそも意見陳述権は生じないので、招集通知の掲示義務はアリマセン。
以上により、誤っている記述はイとエの二つで、正解は2となります。

【問 8】正 解 2 ※難易度:普通
@は正しい。管理者は、規約又は集会の決議により、その職務に関し、区分所有者のために、原告又は被告となることができます。なお、訴訟の追行については個別の事案ごとに集会の決議を要するものとされています(建物区分所有法26条4項)。
Aは誤りで、正解。区分所有建物については、所有者不明建物管理命令は適用されません(民法264条の8、建物区分所有法6条4項)。
Bは正しい。故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負います。そして、この損害賠償の責任を負う者は、他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければなりません(民法709条、710条)。設問のBは、Aに対して損害賠償請求を行えます。
Cは正しい。区分所有建物については、管理不全建物管理制度が適用されないため、区分所有建物の専有部分及び共用部分についての管理不全建物管理人による管理を命ずる処分を求めることはできません(民法264条の14、建物区分所有法6条4項)。

【問 9】正 解 3 ※難易度:やや難
@は誤り。建替え決議に賛成しなかった区分所有者は、集会招集者より建替えに参加するか否かの回答を催告されたときは、催告された日から2月以内に回答しなければなりませんが、回答をしなかった場合は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなされます(建物区分所有法63条3項・4項)。
Aは誤り。建替え賛成者は建替え不参加者に対して、区分所有権及び敷地利用権を時価で売り渡すべき旨を請求することができます(建物区分所有法63条5項)。設問のBは、建替え参加者ですので、EはBに対しては同請求権を行使することができません。
Bは正しく、正解。設問における当該売渡請求権は形成権ですので、その意思表示が到達することで売買契約の効果が生じます。当該効果により、Cは専有部分の引渡義務及びその登記移転義務を負い、請求権行使者であるEは時価による売買代金支払義務を負いますが、この両者の義務は、同時履行の関係に立ちます(建物区分所有法63条5項、東京地判平成16年7月13日)。
Cは誤り。設問の期限の許与が認められるのは、建物の明渡しについてです。移転登記義務については、期限の許与は認められません(建物区分所有法63条6項)。

【問 10】正 解 1 ※難易度:難
@は誤りで、正解。設問につきまして、A棟及びB棟が所在する土地は、団地建物所有者の共有に属していますので、A棟及びB棟の団地建物所有者によって構成される団地管理組合による管理対象となります。団地共用部分になるということではアリマセン(建物区分所有法66条)。
Aは正しい。団地内の専有部分のある建物につきまして、団地管理組合が管理を行うには、全ての建物について団地管理組合が管理を行うものとしなければなりませんが、規約により、異なる管理を行う旨を定めることはできます(建物区分所有法66条等)。
Bは正しい。団地内建物の一括建替え決議を行おうとする場合、団地建物所有者の集会において、団地内建物の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の多数の賛成を得るとともに、各棟ごとのそれぞれの区分所有者の3分の2以上の者であって議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものが賛成する要件(各棟要件)が必要となります(建物区分所有法70条)。
Cは正しい。団地内建物の一括建替えを行おうとする場合の決議事項としては、「再建団地内敷地の一体的な利用についての計画の概要」「再建団地内建物の設計の概要」「団地内建物の全部の取壊し及び再建団地内建物の建築に要する費用の概算額」「費用の分担に関する事項」「再建団地内建物の区分所有権の帰属に関する事項」があります(建物区分所有法70条3項)。

【問 11】正 解 4 ※難易度:やや難
@は正しい。政令で指定された災害によって区分所有建物の全部が滅失した場合、敷地共有者等集会では、敷地共有者者等の議決権の5分の4以上の多数により区分所有建物の再建決議をすることができます(被災マンション法4条1項)。
Aは正しい。敷地共有者等集会において議決権を有するのは集会の時点での敷地共有者等とされます。区分所有建物の滅失時に敷地利用権を有していても、その後譲渡した場合はその譲受人に議決権は属するので、譲渡した者は議決権を有しません(被災マンション法4条1項)。
Bは正しい。滅失した区分所有建物の敷地の一部を含んでいれば、新たに建物を建築する旨の再建決議をすることができます(被災マンション区分所有建物の再建等に関する特別措置法4条1項)。
Cは誤りで、正解。区分所有建物が全部滅失した場合、土地(敷地)についての共有の権利関係のみが残ることとなります。敷地共有持分等の上の抵当権が消滅するわけではアリマセン。そのため再建決議がなされ、建物が再建されたことによって敷地利用権に設定されていた抵当権が消滅するのではアリマセン。

【問 12】正 解 4 ※難易度:やや難
@は誤り。取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得します(民法192条)。即時取得の要件としては、取引行為によって占有を取得することが必要であり、相続による取得では適用がアリマセン。設問のCは、絵画の所有権を取得しません。
Aは誤り。占有取得の方法が外観上の占有状態に変更を来たさない占有改定にとどまるときは、即時取得の適用はアリマセン(民法192条、最判昭和35年2月11日)。設問ではBがその現実の占有を継続しているので、Dは絵画の所有権を取得しません。
Bは誤り。即時取得により動産の上に行使する権利を取得したことを主張する占有者は、民法192条にいう「過失がない」ことを立証する責任を負いません(最判昭和41年6月9日)。設問のDは、過失がないことの立証責任を負うものではアリマセン。
Cは正しく、正解。即時取得において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができます(民法193条)。設問のAは、盗難の時から2年以内であれば、Fに対して絵画の返還請求ができます。

【問 13】正 解 2 ※難易度:普通
@は誤り。詐害行為取消請求に係る訴えは、債務者が債権者を害することを知って行為をしたことを債権者が知った時から2年を経過したとき、又は行為の時から10年を経過したときは提起することができません(民法426条)。設問のBは、Aの詐害行為を知った時から2年を経過すると、詐害行為取消請求を提起できなくなります。Aの行為時から起算するのではアリマセン。
Aは正しく、正解。債権者は、その債権が詐害行為の前の原因に基づいて生じたものである場合に限り、詐害行為取消請求をすることができます(民法424条3項)。設問のBのAに対する債権がAのCに対する贈与の前の原因に基づいていなければ、Bは詐害行為取消請求をすることができません。
Bは誤り。債権者は、詐害行為取消請求をする場合において、債務者がした行為の目的が可分であるときは、自己の債権の額の限度においてのみ、その行為の取消しを請求することができます(民法424条の8)。不動産(建物)の贈与については不可分ですので、設問のBは、Aのした贈与契約の全部の取消しを請求し得ます。
Cは誤り。不動産の引渡請求権者は、目的不動産についてされた債務者の処分行為を詐害行為として取り消す場合に、直接自己に対する所有権移転登記手続を請求することはできません(民法425条、最判昭和53年10月5日)。設問のBは、Aのした贈与の取消しとともに直接自己に当該物件の所有権移転登記をするよう請求することはできないと解されます。

【問 14】正 解 3 ※難易度:易
@は正しい。買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができます。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、解除できなくなります(民法557条1項)。手付による解除は形成権であり、Aは手付の倍額を現実に提供すれば、契約解除できます。
Aは正しい。相手方が契約の履行に着手した後は、手付による解除はできなくなります(民法557条1項後段)。設問のBは自らが履行に着手していても、相手方Aが履行に未着手であれば、手付放棄によって契約解除できます。
Bは誤りで、正解。債務不履行に基づいて契約を解除した場合、契約の当事者は互いに契約前の状態に戻す義務が発生する(原状回復義務)ので、売主に交付された手付は買主に返還されます(民法545条1項)。そして、解約手付の交付があった場合でも、相手方に債務不履行がある場合には、債務不履行を理由とする契約解除及び損害賠償請求をすることができます(同条4項)。
Cは正しい。解約手付による契約解除の場合は、肢@の解説のとおり、買主Bはその手付を放棄し、売主Aはその倍額を現実に提供して償還することになります。そして、設問のAは手付の額を超える損害が生じていたとしても、Bに対して損害賠償請求することはできません(民法557条2項)。

※解説文は、更なる分析などによりまして、変更する場合がございます。何卒、ご了承くださいませ。(中神エマ)




(中神エマ宅建士研究所 講師室)
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